概要
「新国立競技場」は東京都新宿区に旧国立競技場の建て替え計画により建設。2020年東京オリンピック・パラリンピックのメイン会場として計画されました。
設計
当初の計画は国際コンペティションによって最優秀に選定されたZAHA HADIDデザイン監修のもと、日建設計(統括)・梓設計(意匠)・日本設計(設備)・アラップ(構造)の実施設計により計画がまとめられつつありましたが、総工費が大きく膨れあがったことを主要因として、政府から白紙化されたことは記憶に新しい出来事となりました。
その後、仕切り直しとして行われたプロポーザルは設計・施工一括方式により公募され、2者が参加、「大成建設・梓設計・隈研吾建築都市設計事務所」の共同企業体が僅差で優先交渉権者となりました。大成建設は旧国立競技場の建設を手掛け、2代に渡り国立競技場に名を刻むことになります。梓設計は羽田空港ターミナル、茨城空港などの空港案件、埼玉スタジアム、花園ラグビー場などのスポーツ施設に強みを持った組織設計事務所で、直近では横浜ハンマーヘッドがあります。
もう一つの参加者は伊東・日本・竹中・清水・大林共同企業体でした。デザインアーキテクトは伊東豊雄氏が務め、当初設計で設備を担当していた日本設計、そして国内最大手ゼネコンの3社が名を連ねるという構図になり、奇しくもデザインテーマは「杜のスタジアム」でした。
隈研吾事務所は東京都内の近作では「スターバックス リザーブ® ロースタリー 東京」、「根津美術館」、「一行院」、「明治神宮ミュージアム」、「高輪ゲートウェイ駅」、「東京中央郵便局JPタワーKITTE」、「浅草文化観光センター」でなど多数の物件で精力的な活動が続けられています。
"隈研吾"スターバックス リザーブ® ロースタリー 東京 目黒川沿いにあるスタバのハイエンドモデルストア
"隈研吾"明治神宮ミュージアム 神々が宿る杜の高さを超えないように納められたシャープさと透過性を持つ意匠
建築の特徴
外周約850m、高さ47mの「杜のスタジアム」は法隆寺の五重塔の軒からインスピレーションされた庇を4層重ね、水平性を強調したデザインで軒裏には全国47都道府県から提供を受けた杉をルーバー状に張り巡らしています。庇の上部には在来種が植生され、「杜のスタジアム」の象徴的なポイントとなっています。
外周には「空の杜」、「大地の杜」と名付けられた屋外回廊が整備されます。空の杜は5階に相当し、最上レベルの庇下空間に配置された緑と奥に広がる東京の景色が新たな東京の空中散策路として計画され、大地の杜は地上レベルの周囲に配置された緑の散策路で、東側の新緑の杜、南側の大地の里庭、西側の水辺の里庭と3つのエリアが展開されます。