概要
道の駅「かさま(笠間)」は茨城県笠間市にオープンした道の駅で、「笠間のゲートウェイ」をコンセプトとして2021年9月16日(木)に開業。当面はコンビニエンスストアを除く店舗は18時までの運営となります。
茨城県笠間市は茨城県中央部にある人口約7.3万人の街。市の東側で水戸市、西側で桜川市に接しています。日本三大稲荷の一つである「笠間稲荷神社」や陶器の「笠間焼」が全国的に有名なほか、「栗」の生産量が全国一として知られ、近年では栗を使ったお土産やスイーツを積極的にブランディングしています。「笠間芸術の森公園」は笠間の魅力がふんだんに詰まった自然豊かな公園で「茨城県立陶芸美術館」や「笠間工芸の丘」を併設するほか、長さ160mのスライダーを有する遊びの公園としても知られています。公園内にある「ムラサキパーク笠間」は2021年にオープンしたばかりの本格的なBMXコースとして注目されています。
豊かな自然を活かした「ETOWA KASAMA」も注目されており、キャビンやテントを常設したグランピングリゾートで都心からのアクセスの良さもあり人気を博しています。
道の駅の建設場所は国道355号に面した農地エリア。この敷地の近くにはJA常陸が運営する既存の農産物直売所があり、このリニューアル計画を道の駅計画の契機としています。笠間の国道といえば北関東を東西で横断する国道50号が主力ですが、交通量調査や安全面など様々な視点から敷地比較検討し、建設地が選定されました。
道の駅の設計と施工
建物の基本設計は「三井共同建設コンサルタント・計画環境建築JV」、実施設計は「柴建築事務所」が担当。基本設計は土木系コンサルタントと建築設計事務所による共同設計体。「計画環境建築」は栃木県の「道の駅みかも」を設計、実施設計の柴建築事務所は水戸に本社を置く地元の建築設計事務所で、県内の学校建築をはじめとした公共建築を多く手掛けています。施工は地場のゼネコンである株木建設JVとなります。「あみアウトレット」や県内の多くの建築を施工しています。
施設全体のデザインは切妻型の建物を連続して配置して笠間の「商家」をイメージし、中央の顔となる部分には古民家の茅葺屋根をイメージ、さらに笠間稲荷の山道を想起させる広場を設ける計画としています。また茨城県産の木材を多用し、茨城の林業のショールームを目指すともしています。
農産物直売所とレストランを挟むように参道をイメージした大屋根空間が設けられます。笠間市は稲田石の産地としても知られており、道の駅ではこの稲田石を参道の床石として用いることが検討されています。大屋根スペースは災害時には応急スペースとして活用されることを可能とし、平時には様々なイベントやマルシェなどの出店が可能となります。
新道の駅のコンテンツ
全体の構成は「農産物直売所」、「レストラン」、「フードコート」、「栗ショップ」、「コンビニエンスストア」となります。道の駅の定番「農産物直売所」は近隣の既設店舗「みどりの風」が新たな道の駅に移転します。「レストラン」は水戸の「NTB」が運営します。同社は茨城県を中心とした北関東に複数店舗を持つ飲食運営会社でラーメン店「ちゃあしゅう屋」、「中華レストラン古譚」や「珈琲哲学」などのチェーン店のほか、様々なジャンルの飲食店を運営しています。道の駅での出店ジャンルは「和食」となる予定で既存和食ブランドでは那珂市に「かぐや姫」があります。
「フードコート」には「ラーメン」、「ハンバーグ」、「ジェラート」の3店が入ります。ラーメン店は「天辺ダッシュカンパニー」はつくばに本店を置く「活龍」として、つけ麺が有名な店でラーメン激戦区つくばでも知名度の高い店です。ハンバーグの「グリルK」は東京、埼玉に3店舗ある肉料理の名店です。関越道上里SAに隣接する農産物直売所に出店実績がありなど、手軽な価格で上質なハンバーグやステーキが楽しめる店舗です。ジェラートは県内外で肉の販売を手掛ける「フロンティアロード」が担当、肉屋が手掛けるジェラートにも注目です。
栗ショップ「楽栗La Kuri」では生産量日本一を誇る笠間の栗を使った商品やスイーツを販売、「笠間ミュージアム」では笠間焼などの市の名産の展示などが想定されています。「コンビニエンスストア」は「ファミリーマート」に決定しています。道の駅建設地と同じ交差点には既存のセブンイレブンがありましたが、今回道の駅の駐車場用地となりました。
「道の駅かさま」は農産物直売所やレストラン、情報発信施設など道の駅の基本要件を笠間の魅力を多分に活かしながら、コンビニ、フードコートなど利便性の高い施設も組み合わせることで、「総合力の高い道の駅」になるものと思います。指定管理者は第3セクターとなる「株式会社道の駅笠間」が担当。
「道の駅かさま」と比較となりうる道の駅は同じ陶芸の街として知られる栃木県益子町の「道の駅ましこ」、国道50号線沿いに2019年に誕生した最新型の道の駅「道の駅グランテラス筑西」になると思います。
栃木県内の道の駅には積水ハウスとマリオットの共同プロジェクト「trip base」が供用開始となりました。 tripbaseは道の駅に隣接する敷地にホテルを建設し、レストランや買い物など道の駅の利用を前提とし、地域観光の拠点としていく取り組みです。マリオットグループの「フェアフィールドバイマリオット栃木茂木」、同「栃木宇都宮」、同「栃木日光」を2021年春までにオープンさせています。茨城県の道の駅、とりわけ「笠間」のような旅の拠点となりうる場にも、このようなホテルが出来るとさらに注目を集めそうです。
キャンピングカーサイト
「道の駅かさま」には「キャンピングカーサイト」が設定される見込みです。台数は明らかになっていませんが、配置図のレイアウトから、4〜5台の専用サイトが駐車場の一角に配置されるのではないかと見られています。近年は滞在型の道の駅としての役割や休憩施設との区分化を目的とし、キャンピングカーサイト専用区画「RVパーク」が全国の道の駅でも設置が進行しています。茨城県は海と山をベースとしたキャンプ場が多く、都心から近距離ということもあって、近年人気の高いキャンピングエリアとなっています。茨城県が「いばらきキャンプ」と銘打って「キャンピングエリア茨城」としてブランディングを図っています。
「重点道の駅」としての役割
「重点道の駅」制度は国土交通省と実施自治体などと連携しながら、独自の企画を評価、道の駅を地方活性化の拠点として選定し、関連交付金を重点配分するなどで国が積極的に後押しする制度です。笠間では複数のテーマが企画されており、1.「次世代観光拠点」として新たな交通整備網を構築、2.電車や高速道路を活用し、高速バスや路線バスを利用しやすくする取り組み、3.「子育て世代支援」として常磐短期大学と連携した子育て支援施設の設置、「4.農業振興の強化」として地元大学・高校と連携し地元農産物を使用した商品の開発などの検討が進められています。
アクセス
住所:笠間市手越22番地1(国道355号線沿い)