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概要
マリオットグループと積水ハウスは道の駅と国内自治体と連携し「Trip Base 道の駅プロジェクト」を展開。道の駅に新たなロードサイド型ホテルを順次開業させています。これまで休憩場所としての通過点であった「道の駅」にホテルという滞在シーンを用意し、新たな観光拠点づくりを加速させる方針です。
これまで国内のロードサイド型のホテルチェーンといえば高速IC付近を中心とした「ルートインホテルズ」や4人で1万円で提供する「旅籠屋(はたごや)」などが知られています。ここに「空白」と言える道の駅やその周辺地域を活用したホテルにマリオットと積水ハウスが参入し始めています。
栃木県内の道の駅ホテルの開業予定地は3拠点
まずは2020年以降に5府県(栃木県、岐阜県、三重、京都、和歌山)15拠点に1000室規模で展開。このうち北関東からは「栃木県」がピックアップされ、以下の3拠点のうち2ホテル(栃木宇都宮、栃木茂木)がオープン済み。他のエリアは関西〜中部が初期開業の中心のなか、関東では唯一「栃木県」の3拠点が選定されたのは大きい意味を持つと思います。
一つの県に2〜4箇所の道の駅を選定したのは、周遊性を考慮した道の駅のネットワーク(つながり)やホテル経営の効率化といった側面もあると思います。
1.道の駅「うつのみやロマンティック村」=「フェアフィールド・バイ・マリオット栃木宇都宮」
「うつのみやロマンティック村」は46haの敷地に「滞在体験型ファームパーク」としてプールや温泉、農産物販売などを有する道の駅です。道の駅内の施設である日帰り温泉「湯処あぐり」や「レストラン」の活用が可能。宇都宮中心部からは車で25分程度、日光中心部も25分程度と同程度の距離感です。
2020年10月オープン "道の駅宇都宮ろまんちっく フェアフィールド・バイ・マリオット栃木宇都宮"
2.道の駅「もてぎ」=「フェアフィールド・バイ・マリオット栃木茂木」
「もてぎ」はろまんちっく村ほどの規模ではないものの「SL観光」を中心とした観光ツールや、「ゆず塩ラーメン」や「とちおとめ」を使ったソフトクリーム「おとめミルク」など「食」を強みとした道の駅として全国屈指の集客力を誇っています。
近くには「ツインリンクもてぎ」があり、サーキットを中心として遊園地や温浴施設などを完備する総合レジャー施設です。
3.「日光市」(道の駅非隣接型)=「フェアフィールド・バイ・マリオット栃木日光」
「フェアフィールド・バイマリオット栃木日光日光」は東照宮から霧降高原へ向かう別荘や保養所等が立ち並ぶ日光市所野に立地。日光中心部を観光拠点として霧降高原にあるキスゲ平園地や大笹牧場などへ足を伸ばしやすい場所です。
当初は「道の駅日光」か「道の駅湯西川」いずれかの展開を試みたようですが、道の駅隣接型とはせず、プロジェクト唯一の”非”道の駅隣接型のホテルとして2021年3月オープン予定。
ホテルのグレード・価格帯
ホテルはマリオットグループがアメリカ本土で広く展開する「フェアフィールド・バイ・マリオット」と大手ハウスメーカー「積水ハウス」が主体となって運営。
2名1室1泊の価格は平日で12,000円(宿泊料)+2,520円(税・サービス)〜、休前日で16,000円(宿泊料)+3,360円(税・サービス)〜。会員料金で10%OFFとなります。食事込みのプランはなし。チェックイン15時-チェックアウト11時。「栃木日光」はリゾート地ということもあり、時期や曜日により幅を持たせた価格帯となる見込みです。
同じくマリオットグループは栃木県内の日光中禅寺湖畔に「ザ・リッツ・カールトン日光」をオープン済み。こちらはハイエンドユーザー向けのホテルで価格帯も6万円〜となっていることを考えれば、割安感のあるホテルと言えます。
ホテルは積水ハウスとの共同ということから賃貸共同住宅シリーズ「シャーメゾン」を軸としてホテルライクにアレンジ。共同住宅とホテルというのは実は建物のつくりとしては似通っている面があり、個室が連なる構造や耐火仕様などの構成がほぼ同様。工場生産を主とし、工事工程も早いためホテルの建設には優位に働くと思います。