“八海醸造”猿倉山ビール醸造所

“八海醸造”猿倉山ビール醸造所

2020年11月19日
建築

概要

猿倉山ビール醸造所は新潟県魚沼市にある、日本酒「八海山」で有名な八海醸造が運営する「魚沼の里」内にあるブルワリー。「ライディーンビール」を施設内で製造し、ビアバーも併設。里には酒造施設をはじめとして、蕎麦屋「長森」、和菓子「さとや」、八海山みんなの社員食堂、八海山雪室、さとやベーカリーなど日本酒の仕込み水を使用した食が楽しめる場が用意されています。猿倉山は八海山山脈の尾根の名称です。

建築であり、屋根でもあり、ランドスケープでもある。色んな意図が伝わってくる。

設計・施工

設計はKAJIMA DESIGN。施工は鹿島建設。KAJIMA DESIGNは鹿島建設の設計部門で、高い施工技術に裏打ちされた設計技量に定評があります。世界的にみて設計は設計事務所、施工はゼネコンという分業スタイルが一般的である一方で、国内の大手ゼネコンには組織としての設計部を古くから有しており、民間事業を中心にビルや商業施設、タワーマンション、研究施設、工場など多くの作品を残しています。

大手のゼネコンは公共工事の設計が受注できないため、世間的な知名度が上がりにくいという側面を持っています。これは公共的なプロジェクトの設計や施工の入札を分業により公募しており、設計と施工の会社は同一の会社や資本関係にある組織は両方の業務を受注できないためです。

鹿島建設(KAJIMA DESIGN)は三菱電機やCANON、資生堂、イオン、アステラス製薬、中外製薬などの大企業案件を引き受けている傾向にあります。八海醸造「魚沼の里」では「八海山雪室」を先立って同社が設計・施工しています。

特徴

建物は緑化された緩い勾配の三角屋根が全面に架けられており、水下で敷地の周辺緑地と連続。「ランドスケープアーキテクチャー」という周辺環境に建築が溶け込み、一体となったなっスタイルが実践されています。ただの見た目ではない雪国ならではの工夫が施されています。

夏は屋根一杯に張られた芝が青々し、冬は深い積雪が屋根一杯に積もり、季節によって異なる表情を作り出しています。

店内。三角屋根を現しにした高い空間。妻側には切り取られた景色が広がる。奥はさとやベーカリー。店内で食することもできる。

屋上緑化は夏季の日射による熱取得を大きく和らげる効果があり、建築物の省エネルギー化に寄与。冬季には3m近い積雪が屋根に降り積り、雪ですっぽり建物が覆われ、前面の三角形のファサードだけが顔を出して、その様子は「かまくら」にも通じます。

積雪地では通常、屋根から雪が自然落下しますが、この屋根は地面と連続しているため、落下はせずに、じわじわと雪が屋根で溶けながら、ゆっくりと水下側へ移動する光景が目に浮かびます。

屋根から敷地へと連続している。軒先は水下になり地面に吸収されていく。

ライディーンビール

醸造所から400m離れた場所に、八海山から染み出る「雷電様の清水(らいでんさまのしみず)」という八海醸造の日本酒の仕込み水を使用。硬度は極めて低く、かつては酒造には向かないとされたそうですが、八海醸造の持つ醸造技術の向上により、現在の清酒八海山を作り出すことが可能となっているそうです。

ビールはWEIZEN(バイツェン)、ALT(アルト)、PILSNER(ピルスナー)、IPA(アイピーエー)、PORTER(ポーター)という豊富なラインナップに加え、季節限定の商品も用意されています。一般販売は瓶ですが、ここでは作りたての生ビールとして味わうことができます。

ガラス張りによりビール醸造施設が見える。
八海醸造が作り出すビールは作りたてが提供される。

アクセス

関越自動車道六日町ICより約15分。公共交通機関はありません。