“隈研吾”足柄駅交流センター

“隈研吾”足柄駅交流センター

2021年1月27日
建築

概要

足柄駅交流センターは静岡県小山町にある町の支所、交流施設、駅舎で小山町により整備されました。足柄駅はJR東海道線国府津駅と沼津駅を結ぶJR御殿場線の駅で利用者数は400人強(1日)と決して多くはないながらも、駅の魅力や利便性向上、町の広報などに対応するために計画されました。

小山町は静岡県の最東部にあり、富士東麓に広がる土地に富士スピードウェイや10近いゴルフコースを有する町です。箱根外周山の金時山があることでも知られています。「足柄」は小山町内の地区ですが、東名高速道路の「足柄サービスエリア」の知名度が高いかもしれません。富士スピードウェイにはハイアットがホテルを計画中で今後、観光客の拡大が見込まれています。

設計

設計は「隈研吾建築都市設計事務所」。町の設計プロポーザルにより選定されました。(次点は「マチデザイン」、一次審査通過者「安藤耕作構造計画事務所」、「ジェイアール東海コンサルタンツ」、「三井共同建設コンサルタンツ」)

隈事務所としては静岡県内では清水(静岡)の日本平に「日本平夢テラス」、熱海に「COEDA HOUSE」、「ATAMI 海峯楼」、伊豆高原のレストラン「MIKUNI IZUKOGEN」などの作品があります。 駅舎としては「JR高輪ゲートウェイ駅」、「JR宝積寺駅」、「JR湯河原駅前」、「京王高尾山口駅」などがあります。

東京都内の近作では「スターバックス リザーブ® ロースタリー 東京」、「根津美術館」、「明治神宮ミュージアム」、「歌舞伎座タワー」、「東京中央郵便局JPタワーKITTE」など多数の物件で精力的な活動が続けられています。

"隈研吾設計"JR高輪ゲートウェイ駅

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隈研吾”JR宝積寺駅”

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建築の特徴

多くの駅舎は線路とホームに並行して建てられていますが、当駅のように線路に対してほぼ直行する配置は駅舎としては珍しい建て方と言えます。足柄駅と富士山はほぼ東西軸によって結ばれ、富士山軸を意識した配置となっています。駅舎といっても改札機能と待合室を有するのみであり、ホームの横断橋を持たずホームと直接接しない小規模駅だからこそ成立する計画なのかもしれません。

全体のデザインは切妻屋根ですが、富士山側の端部を空に向かって開くことで富士への視線を確保しています。階段によって上階に持ち上げられ、ガラスによる大開口で富士を望む交流スペースが設けられています。

建物は木構造を主としており、地場の金時近辺から集められた杉やヒノキが使用されています。垂木や母屋、筋交い、柱など積極的に木質材を見せることで、地場産材の活用をアピールするとともに木構造の駅舎として親しみのある内観、外観を作り出しています。黒をベースとした外観に木の明るさがよく映える配色となっています。

富士山方向に大きく開く構成。
全体のプロポーション。背景の山並みと反対の傾斜を作り出しているようにも見える。
端部の交流スペース。フリーの席やストリートピアノが設置されている。
足柄駅のホーム。普遍的で落ち着いた小規模駅。
最小限の待合室。知り合いではなくても会話が、始まりそうな距離感。
階段により持ち上げられた下のスペースはトイレなどに活用され合理的な計画となっている。黒と白のコントラストによりまとめられている。
足柄駅は山並みに囲われているため、富士の裾野は見えないが、山頂付近は望むことができる。上に開くことで眺望を広げていることが分かる。