大さん橋国際客船ターミナル

大さん橋国際客船ターミナル

2019年5月19日

概要

横浜市にある国際客船ターミナル。ターミナル理利用のほか数々のイベントが開催され、現在では数ある横浜港の観光拠点の中でも随一の観光客動員数を誇る施設でもあります。

国際ターミナルとして年間通して、数多くの豪華客船の停泊があり、「ぱしふぃっくびいなす」や「飛鳥Ⅱ」、「にっぽん丸」、「ダイヤモンドプリンセス」、「クイーンエリザベス」など国内外に代表する客船を見ることができます。

設計

1995年に行われた国際コンペティションで最優秀賞に選定されたForeign Office Architects(アレハンドロ・ザエラ・ポロとファッシド・ムサヴィ)が設計。当時20代、30代という建築家界からするととりわけ若い存在で、大規模な建築の実績がない中で、ましてや日本での実績も当然ない中で選出されたことは業界でも大きな話題となりました。

「この案では施工出来ない」という周囲の下馬評どおりコンペティションで選出された案の実施設計は難航し、5年の歳月をかけてようやく設計が完了。その姿はコンペティションの案から大きく変貌をとげていました。

発注者である横浜市は巨額の設計変更を抱え大きな批判を浴びることにもなり、終始物議を醸した作品となりました。紆余曲折を経て建物は2002年に完成しています。

完成から17年経過。近年の大型クルーズ船ブームや独自イベントの開催などの影響もあり2018年は来場客数300万人を突破。

今では数ある横浜の観光拠点の中でも屈指の存在となりつつあります。建築の評価は完成した瞬間ではなく、長い年月の中での使われ方こそ真の評価に値する指標、と言われることがありますが、正にこの建築はその指標を具現化していると言えるのではないでしょうか。

建築の特徴

当時まだ途上であったコンピューター設計を駆使して実作に繋げた作品として知られています。

1階は駐車場、2階が入出国ロビー、3階が屋上庭園という一見シンプルな階構成ながらも起伏や斜面、曲面といった要素が多く建物と認識しにくい構成となっています。
建物には階段がほとんどなく、スロープにより高低差の処理を行っています。
3階の屋上広場は広く公開されていて、海に突き出した起伏に芝生がある様子はまるで海上公園と呼ぶに相応しい景観です。

業界では、これは建築ではなく「海に張り出した公園」、「海底洞窟」という評価もあるくらいです。

大桟橋の全体構成。
ターミナルのエントランス。
入出国ロビー。様々なイベントも開催されるフレキシブルスペース。
屋上広場の通称「くじらの背中」から客船を眺める。
客室と同じ目線で見れる大型客船は圧巻。15階建てくらいは軽くありそうだ。
2階ロビーより屋上広場へ抜けるスロープ。

アクセス

JR関内駅より徒歩15分。みなとみらい線日本大通り駅より徒歩7分。