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概要
高輪ゲートウェイ駅はJR山手線の30番目の駅として、2020年に暫定開業、駅周辺開発であるTokyo Yard Projectと合わせて2024年の正式開業を予定。山手線としては約50年ぶり(1971年西日暮里駅)、京浜東北線としては約20年ぶり(2000年さいたま副都心駅)の新駅オープンとなります。西に品川駅、東に田町駅とその中間を補完する旧JR車両基地を再開発して整備されています。
設計
設計は「東日本旅客鉄道」、「JR東日本建築設計」、「隈研吾建築都市設計事務所」の共同プロジェクト。隈研吾事務所がデザインアーキテクトを担当。隈研吾氏が駅舎の設計に携わるのは「JR宝積寺駅」(栃木県)、「京王高尾山口」(東京都)、「JR足柄駅(足柄駅交流センター)」(神奈川県)など。「高輪ゲートウェイ駅」は大型駅の設計となります。
東京都内の近作では「東京中央郵便局JPタワー」「歌舞伎座タワー」、「スターバックス リザーブ® ロースタリー 東京」、「根津美術館」、「明治神宮ミュージアム」など精力的な活動が続けられています。
建築の特徴
駅舎には折り紙を開いたような一枚紙の屋根が架けられ、2つの島状ホームを空間的に一体化しています。膜構造の屋根は鉄と木の集成材のフレームにより支えられ、白い膜から透過する自然な光は「障子」のような役割を果たしており、新たな駅舎に相応しいシーンを作り出しています。本駅のように複数のホームがある駅で一つの屋根にカバーされる駅構成は決して多くありません。ほとんどの駅が1つのホームに対して1対の屋根が架けられる独立方式が取られています。欧州に見られるような大屋根の下に全てのホームがある光景は、乗降客を受け止める駅空間として豊かな光景ですが、既存駅では使いながらの改修が極めて困難であるため、このような構造の駅舎は事実上新駅に限られるかと思います。
この駅は降りた瞬間から大屋根の下に居るという体験が乗降客の共有の受け止め空間となり、また両側がガラスにより視野が開けていることから、一瞬で街の規模感や空気を読み取ることが出来るという特徴を持ち、大型駅舎ながらも「ヒューマンスケールの駅」が具現化されているように思います。
高輪ゲートウェイ駅開発事業
「高輪ゲートウェイ駅」は「品川開発プロジェクト(Tokyo Yard Project)」と一体の関係にあります。駅の正式開業である2024年に合わせて駅と線路に並行するように大型ビル群が誕生します。開発エリアは大きく分けて4つの街区にわかれ、東京駅側から1街区、品川駅側が4街区となり、駅前空間は4街区として30階建の北棟、南棟からなり上層部をホテルとして中層以下がオフィスとなります。2街区、3街区も低層部を商業施設としたオフィスビルを中心とした構成、1街区はタワーマンションとなります。街区は日本列島の島(アーキペラーゴ)をイメージし、かつて海岸線であった「フロー」を歩道空間として整備、4つの街区が、グローバルゲートウェイとして機能することとなり、新駅に相応しい大型開発となります。
「高輪ゲートウェイ駅」のデザインアーキテクトが隈研吾氏であるのに対して、「Tokyo Yard Project」のデザインアーキテクト(高層外装デザイン)には「ウィリアム・D・チルトン」氏を起用しています。チルトン氏は全米で大型ビルディングの設計に携わっており、現在ロサンゼルスに計画中の「Uber Sky Tower」の計画が話題となっています。