概要
「ロロピアーナ銀座店」は東京都中央区銀座にあるブランド「Loro Piana(ロロピアーナ)」の直営店として2020年にオープン。同社はイタリアの生地メーカーとして最高級ウールとカシミアの生産・製造を続けており、その自社生産の生地を使用したスーツやウェアの製造や販売を手掛けています。
設計
設計は「青木淳(AS)」と「大成建設設計本部」の共同設計。青木氏は東京大学を卒業後、磯崎新アトリエの勤務を経て独立、新潟県の「遊水館」や「潟博物館」などで実績を固め、国際コンペの「青森県立美術館」で最優秀案となり、近年では「京都市京セラ美術館」、「松本平広域公園陸上競技場」の設計プロポーザルで最適候補者となるなど第一線で活躍を続けています。
青木氏と言えば、ルイヴィトン社のパートナー建築家として数々の店舗の設計を担当。「LOUIS VUITTON 名古屋栄店」を始めとして、「LOUIS VUITTON 六本木ヒルズ店」、「LOUIS VUITTON ニューヨーク」、「LOUIS VUITTON 香港ランドマーク店」、「LOUIS VUITTON 博多店」、「LOUIS VUITTON 大阪御堂筋店」と多数におよび、とりわけ銀座においては「LOUIS VUITTON 松屋銀座店」や2021年に完成した「LOUIS VUITTON 銀座並木通り店」の設計し、銀座エリアで最も多い実績やニーズを持つ建築家と言えます。
"青木淳"「LOUIS VUITTON 銀座並木通り店」ダイクロックコーティングにより色味が変化する波を打つ水の柱
青木淳「LOUIS VUITTON 銀座松屋店」壁面に表現されたブランドコード"ダミエパターン"
「大成建設設計本部」はゼネコンとして施工を中心としながらも、高い技術力に裏打ちされた設計部門を保有しており、新潟県燕三条市の「Snow Peak Headquaters」などの自社設計・施工物件などのほか、銀座エリアでは特に実績が多く「ミキモト2」(伊東豊雄氏と共同設計)、「La・La・Grande GINZA」、「GINZA PLACE」、「ティファニー銀座」などの作品があります。
建築の特徴
銀座の中央通りは銀座の中でも特に有名な世界的なブランドが軒を並べる通りで、「LOUIS VUITTON銀座松屋店」や「ティファニー銀座」などの店舗のほか、「銀座松屋」、「GINZA SIX」、「GINZA PLACE」といった大型商業施設、また、一件挟んだ場所には「Apple 銀座」があります。そのような日本を代表する世界的な発信拠点に2020年にオープンしたのが「ロロピアーナ銀座」です。
ボーリン・シウィンスキー・ジャクソン+KAJIMA DESIGN「Apple Store GINZA」 MacBookのような筐体建築
高さ56mある細長いビルディングには風になびかれるカーテンのような美しいファサードが表現されています。ロロピアーナの商品として一切の妥協のない生地製品のイメージを建築というハードな物質に置き換えた時にどのように表現できるかを課題として設計されました。滑らか、かつ柔らかなタッチの極上のウールやカシミアは、縦張りのスチールプレートにミラー加工を施したフィルムをグラデーション状に展開。壁面に柔らかなカーブと僅かな勾配を付けることで、周囲の銀座の風景と空をそれぞれのプレートが映し出して全体のファサードとしています。銀座という場とロロピアーナのラグジュアリー感が漂いながらも、軽快感が感じられるファサードとなっています。