隈研吾設計”境町研究開発施設S-Lab”2019年11月完成へ

概要

茨城県境町はワインや干し芋を特産物とするための研究開発施設「S-Lab」を2019年11月に完成することを発表。設計者である隈研吾氏と共同で隈事務所にて会見を開きました。

「S-Lab」は見学や体験参加も可能な機能を持たせた施設で、集客性も期待されています。建設場所は境町の中心部。既存の「道の駅さかい」や「河岸の駅さかい」の徒歩圏内となり、同エリアにあえて点在させることで周遊的なネットワークを高めつつ、街の再生を図ります。

今回「S-Lab」と隣り合う形で美術館「S-Lab」も建設されることが決定しています。こちらは2020年3月完成予定ですが、異用途の建築が一体的なデザインのもと地域に新たな文化的価値を吹き込むことが期待されます。

隈研吾建築都市設計事務所は2019年4月に「道の駅さかい」に併設する「さかい河岸レストラン茶蔵」を設計。話題性もあり連日行列を作っています。

建築家がある街の建築を集中して設計していくことは決して珍しいことではありません。県内であれば妹島和世作品が多い日立市がそうでしょうし、長野県安曇野市の内藤廣さんなども有名です。

境町では隈建築によって積極的な施設のブランド化戦略を図り、街の魅力向上を目指していることが見てとれます。S-Labがどのような建物になるのか、注目です。

どんな建物ができるのか

設計は隈研吾建築都市設計事務所。施工は地元の篠原工務店が受注。S-Labは357㎡の木造平屋で隈事務所が得意とする木質系の建築になるとみられます。

坂花町の住宅地に建設中。

パースによると「茶蔵」のようなルーバーファサードではなく、境町の蔵に通じるデザインを意識したような印象を受けます。

茨城県内の隈建築は道の駅さかい「さかい河岸レストラン茶蔵」、県南総合防災センター(取手)、丸山海苔店(つくば)に次ぎ4件目となります。

丸山海苔店つくば工場
2019年4月にオープン済の道の駅さかい「茶蔵」。連日行列を作っている。

特産品研究開発施設とは?

研究施設と聞くと理科学系の「研究所」が思い浮かびますが、ここで研究・開発するものは「特産品」です。

開発ターゲットは「干し芋」の材料である「サツマイモ」と「ワイン」の「ブドウ」と公表されています。干し芋は既に茨城県の名産ですが、ワインの開発はまだ盛んとは言えません。

干し芋の産地としてはひたちなか市や東海村が有名で、茨城県産が国内シェア9割、冬季の乾燥した北西風が干し芋の乾燥に向いているとか。ビタミンB、C、Eが豊富で近年の健康食品ブームもあり需要が増えているそうです。

ワインは茨城では馴染みがないかもしれませんが、かつては「牛久シャトー」で葡萄の栽培から醸造、生産を行っていました。また、筑波山麓では「つくばワイナリー」が2013年から生産、現在では「Twin Peaks」を商品として販売しています。

境町は「さしま茶」が有名で、茶蔵のメインテーマにもなっています。これに加えて新たな食の発信ツールを増やしていきたいということかと思いますし、農業の後継者問題や農の収益効率化といった点で将来を見据えた拠点としての位置付けもあるのかもしれません。