“2024年開業予定”南摩川沿いに新たに誕生するスノーピークキャンピングフィールド

“2024年開業予定”南摩川沿いに新たに誕生するスノーピークキャンピングフィールド

2020年9月23日
建築

概要

栃木県鹿沼市が計画している「水源地域振興拠点施設(仮称)」は思川(おもいがわ)の主要開発事業「南摩(なんま)ダム」の一環として「癒し」「遊び」「学び」「集う」をコンセプトに温泉や飲食施設、キャンピングエリアなどのアウトドア拠点が整備される計画。建設が進む南摩ダムの下流側約1.5kmに位置する自然が色濃く残るエリアに計画されています。本施設が直営キャンピングフィールドとしてオープンすることがスノーピーク社からも正式にプレスされています。現在建物の実施設計中で今後工事が進められ、2024年春の開業を目指しています。

南摩川沿いの約50,000㎡の敷地に「水源地域振興拠点施設」を計画。奥には日光男体山がみえる。
河川沿いの田畑や蕎麦畑など既存の風景と一体となった整備が期待されている。

「スノーピーク地方創生コンサルティング」による基本設計

本事業の基本設計業務は公募型プロポーザル方式により「スノーピーク地方創生コンサルティング」が最優秀者となりました。主な業務内容は敷地全体の造成やランドスケープ、建物の基本設計を行う業務。スノーピーク社は2017年に地方公共団体向けに「地方創生コンサルタント業務」を実施してきた経験から本事業を専門で取り扱う子会社を法人化しています。

スノーピーク(snow peak)社は「人生に野遊びを」をキャッチフレーズに総合アウトドアブランドとしてキャンプ・アウトドア用品の展開にくわえ、近年ではキャンピング施設の運営にも注力、また地方創生をビジョンに地方自治体におけるキャンピング施設の再生などの事業展開も図ってきました。

今回は参加4社によるプロポーザル(提案書審査)によりスノーピーク社が最終優秀者となり事業の「基本設計業務」を受注しました。建物を工事するために使う図面を「実施設計」と言いますが、その一歩手前となる全体イメージ、建物平面図や立面、断面図、そのもととなる平面の構成や各室の面積などの作成を行うものです。今回のように自然環境が色濃く残るエリアの開発には建築設計のみならず、土木コンサルタントなどより専門性の高いチームづくりが求められました2020年に基本設計は完了し、現在は他社による実施設計が進められています。

基本設計における施設構成

広大で自然豊かな南摩川沿いの約50,000㎡の敷地に施設のコアとなる約1,600㎡の木造平屋建築が計画されています。建物は風景や自然形状に沿って5角形の平面を持ち、一辺に大きなデッキを設けることで外部環境を屋内に取り込み、中心部分に創出されるデッキ空間にはタープやテントが設けられキャンプフィールドとの接点を持たせています。5角形の平面には寄棟形式の屋根が架けられ、洗練されながらも周辺環境と馴染みやすいフォームを作り出しています。

デッキには販売施設、休憩スペース、ラウンジ、レストランなどが面しており屋内外の一体感が感じられるプランニングとなっています。温浴施設も自然を最大限に活かした配置としており、内湯と露天風呂が整備されます。建物には地場鹿沼産の木材が使用され、外壁は杉板張りとして地域との親和性を持たせています。

長野県白馬村にオープンした「ランドステーション白馬」は敷地や建築規模が近く、モデルとなりうる。
建築と景観。そして自然の魅力を最大限に生かした施設づくり、キャンプ場づくりが期待される。(写真:ランドステーション白馬)
ランドステーション白馬には「スターバックスコーヒー」も入居する

鹿沼型はらっぱキャンプフィールド

キャンプ場は南摩川沿いに広がる自然形状・勾配を極力活用し、コア施設からゆるやに下るように、AからFのエリアに12m×12mの区割りのフリーサイトを基本に構成され全体で91区画が計画されています。勾配地になるため、より周辺の環境を視覚的に捉えやすいサイトとなります。当エリアの自然・植生を活用する「生物多様性」に重きを置いた計画とすることから、植生の丈による区画を基本とした区割りを目指すようです。一部のエリアを電源付きとして多様な利用に対応します。

新潟県燕三条市にある「スノーピーク ヘッドクォーターズ キャンプフィールド」はスノーピーク本社機能、店舗、キャンピングエリアを有していて広大な自然と景観が楽しめる。キャンプ場は極力、手を加えていないため、より自然が楽しめるようフリーサイトを基本としている
「スノーピークランドステーション白馬」の広場、キャンプエリア、建物の関係

敷地内温泉掘削

本施設の主力コンテンツとなる「温泉」は敷地内に約1,500m掘削して専用温泉を確保。施設の最大の売りとして先行して掘削が進められてきましたが、毎分133L、約33度の温泉が湧き出ました。この湯は建物内の温浴施設に引湯されます。温度的には加温となるものの、キャンプ場に温泉を有する施設は全国的にも希少で、目玉の一つになることが期待されています。鹿沼市には県道246号沿いに日帰り温泉「前日光つつじの湯」があり、地理的に湯温や泉質は近いと見られます。

スノーピーク社が指定管理者優先交渉権者に

本施設が「スノーピーク」ブランドとしての飲食施設や店舗、キャンピング施設などが展開されるのかどうかですが、2021年4月に市の公募型プロポーザルにより「指定管理者」の優先交渉権者(最優秀案)に選定されました。「基本計画、基本設計との整合性」、「提案の具体性・妥当性」、「地元や西北部地域の活性化につながるか」などの観点で総合評価され、5者の応募の中から最優秀案となりました。2021年5月31日に同社からも正式発表があったことから正式契約に結びついたものと見られます。現代型の道の駅などがそうであるように、施設のソフト面のプロデュースは「指定管理者」の差配が鍵を握ります。指定管理者の応募要領によれば、販売施設(飲食施設は除く)の企画やキャンプ場の運営などは一定の方針があるものの、指定管理者の提案のもと進められるスキームとなるようです。これにより鹿沼が「スノーピーク直営ブランド」によるキャンピングフィールドとなることが確定したと見られます。

期待感から話をすれば、モデルとなりうるのは長野県白馬村にある「スノーピークランドステーション」です。

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当施設は約1,400㎡の建物にスノーピークの直営店舗、レストラン「雪峰」が入り、「スターバックスコーヒー」も入居しました。敷地内には白馬の雄大な自然を背景とした「スノーピークキャンピング施設」もあります。白馬村の観光案内所としても機能しており、前庭で様々な屋外イベントの開催が可能となっています。

また、新潟県燕三条市にある同社の本拠でもある「スノーピーク ヘッドクォーターズ キャンプフィールド」は広大な敷地と壮大な原風景が楽しめるキャンピングエリアとなっています。

Snow Peak Headquarters(燕三条市スノーピーク本社)

概要 新潟県三条市にある株式会社スノーピークの本社施設(Headquarters…
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このような施設づくりは集客性や話題性が抜群で、近年重要とされる収益力を考慮すれば公的整備としても好事例だと考えます。