概要
新潟県三条市にある株式会社スノーピークの本社施設(Headquartersは「本部」を意味)。50,000坪ある敷地内には同社のセントラルワーキングスペース、工場、スノーピーク商品を扱う店舗を併設、屋外には一般利用を目的としたキャンプ場も備えており、同社の研究開発の拠点の中心として機能しています。スノーピーク社は金物製造が盛んな燕三条にルーツを持ち、アウトドア総合ブランドとして、焚き火台やテントペグなどの金属製品をはじめとしてテントやシェルター、キャンピングのあらゆる商品の開発・販売を手がけています。「人生に野遊びを」をテーマに常に商品のアップデートや開発を行い、アウトドア界で名作と言われる商品を数々生み出してきました。
2020年には長野県白馬村に「ランドステーション白馬」がオープンしました。スノーピークの店舗やレストラン、グランピング施設など、本社モデルを地方に展開しています。
"隈研吾"snow peak LAND STATION 白馬 連峰と呼応する屋根と最高の景色を切り取る大開口
また、近年では製造販売や店舗のみならず、自治体などに対して、アウトドアアクティビティに関するコンサルティングを積極的に展開。
設計
設計は大成建設一級建築士事務所。大手ゼネコン大成建設の一級建築士事務所になります。大手ゼネコンの設計事務所は自社施工を前提として、デザイン力だけではなく、高い施工技術に裏打ちされた設計が売り。公共建築では設計と施工が分離されることが多く、公平性の観点から設計に関与すると工事が受注できない仕組みになるため、大型の民間工事の設計活動の中心となります。近年ではThe Okura TOKYO(東京)や京急グループ本社(横浜)などの設計・施工を行なっています。
店舗
店舗はスノーピークの直営店で、キャンプ用品はもちろんのこと、ウェアなども数多く取り揃えています。工場に隣接しているため在庫十分。
敷地内にはキャンピングが可能なエリアが用意されています。スノーピークの商品で隈研吾氏がデザイン監修した「住箱」や同社のテントもレンタル可能で、初心者でも気軽に利用することができます。
建築の特徴
自社が所有する約50,000坪の敷地は丘状の広大な土地で本建物は谷に面して横長に広がる平面を持っています。この谷を生かし、その際(きわ)に水平性そして透過性の高いガラスの建築が配置されています。敷地の形状を活かし、最小限の造成工事にとどめています。自然の中で建築の存在感を狭小化しつつ、周辺民家に対してはキャンプ場との仕切りとして機能させる役割も持たせています。
長辺方向の両側に深いコンクリート製の庇を設けることで冬季の積雪から建物周囲を守り、夏季の日射を抑制。自然に対する考え方やシンプルな構図は「スノーピーク」の理念に通じるところがあるように思います。
広い「タープ」をサッと建築に架け、雨風や雪、日射を防ぐような分かりやすさは同社の商品コンセプトのようでもあり、あまり建築を作り込まない姿勢と社のアクティビティが干渉しないような意図も感じられます。
オフィスの室内は大きな1ルームとして、社員同士のアクティビティが可視化されています。
アクセス
関越自動車道三条燕ICより約40分