概要
茨城県境町に隈研吾建築都市設計事務所が設計する「まちかどカフェ」が2021.3月に完成予定。境町は2018年頃より同事務所により設計された建物を矢継ぎ早に街に送り出しており、本施設が6物件目となります。
建設地は2020年にオープンしたばかりの同事務所の設計による研究開発施設s-labとしゅくさんぽう美術館s-galleryの道路向かい。住宅や商店が並ぶ境町の中心エリアですが、あえて国道など交通利便性の良い場所に設けず、普遍的な「まちかど」に建設し、人々を誘引する地域活性化の手法。
先行して完成した上記2施設は、特産品開発施設と美術館ですがカフェや喫茶機能はありませんでした。今回建設する「まちかどカフェ」により、残りのピースが埋められることになります。


建物
規模は100㎡の木造2階建、ということで小柄な戸建住宅ほどな大きさ。前面は低めにガラスを張り、その正面には干し芋の繊維からイメージした地場産の杉ルーバーにより被覆させます。芋の繊維のように縦に伸びるようなデザインが木造2階という普遍的な形状に「高さ」を与えます。
本施設は境町により「設計・施工一括方式」により公募されたことから隈事務所は基本設計という位置付けという見方も出来るでしょう。
まちかどカフェとは
まちかどカフェの店舗やメニュー、運営形態は明らかになっていません。一つには建築デザインのテーマであり、正面のs-labで開発される「干し芋」を使用したメニューが有力なのではないかと考えられます。
今回の建設地から10分ほどの場所に建設された「モンテネグロ会館」には、さしま茶の生産、販売を行う「長野園」の店舗が本施設に移転。予約制のカフェがオープンしました。

町の隈建築
境町では隈建築による街の活性化が進行してきました。道の駅さかい「さかい河岸レストラン茶蔵」は2019.4に完成済み。特産品研究開発施設「S-Lab」とシュクサンポウ美術館「S-gallerry」、「モンテネグロ会館」が2020年に完成、着々と「隈コレクション」が揃いつつあります。
町では隈ブランドを活用した第6弾の施設建設になります。「道の駅さかい」を起点として街への集客性を高めながら、中心部からあえて離れて建設することで、周遊性を高める戦略です。





町という既存の広い都市を美術館と捉え、様々な建築作品を点在させる街作りはこれまでもありましたが、ここまで同一の建築家の作品を集めてブランド化するという手法は国内でも例を見ないかもしれません。隈研吾作品が全国で最も多い街となるようです。
完成予定
完成予定は2021.3。オープン日は未定。