“旧県議会議事堂”茨城県立図書館

“旧県議会議事堂”茨城県立図書館

建築

概要

1970年築の旧茨城県県議会議事堂は1999年に現在の笠原町に県本庁舎の新築移転。議場としての役割を終えた建物は、リノベーションを施したうえで、2000年に県立図書館としてオープンしました。県立図書館を含めた広場には隣接して県の三の丸庁舎が現存しており、近代建築の庁舎と旧議場が近すぎず、遠すぎない関係で緊張感を保ち続けています。

水戸市は茨城県の県庁所在地で、人口約27万人を抱え県内唯一の中核市に位置付けられています。図書館の蔵書数は約100万冊。

右側に県立図書館、左側に三の丸庁舎。裏手には水戸藩の藩堂であった弘道館が控える。

設計

設計は茨城県土木部と日建設計。新築時の設計者も同様。国内を代表する建築設計事務所と工務店の作品だけあり、現在でも「品の良さ」が滲みでています。竹中工務店は現在の茨城県庁も手掛けています。

建築の特徴

旧議会棟は非常にシンプルな構成の建物でした。シンメトリーなボックス形状に間口をエントランスとし、ホールから2階に至る階段を上がると旧議場があり、その空間が建物の中心として位置ていました。窓際空間には議員室が並んでいたと見られ、側面に規則性のある窓が並んでいます。

改修は議事堂としての「記憶の継承」でした。旧議場は現在閲覧室として使用されており、トップライトから降り注ぐ均整な光が室内を照らし、議場としての記憶を保ち続けています。議場を中心軸として両窓側が開架書庫となっています。

図書館の中心室といえば開架閲覧室ですが、ここでは議場(閲覧室)を取り囲むように開架書庫がある姿は、他の図書館では体験できない空間です。利用者は開架書架で本に手を伸ばし、片手に本を抱えながら閲覧室という名の議場に入り、本と議論する。そのような姿は当時の記憶の継承を図書館に置き換えているのかもしれません。

このように現在では何の違和感もなく図書館としてあり続けられるのも、当初の議事堂が汎用性が高いフレキシブルな建物であったことが功を奏しています。

規則性のある端正な開口部が並ぶ。手前の車路は地下に繋がる。当初は駐車場だったが現在はほとんどが書庫となっている。
間口の壁面はPC板が用いられているようだ。均等な目地割りが建物に規律を与えている。
閉鎖的な正面に対して、連続性のある開口部を持つ。屋根にはエントランスや議場に光を取り込むトップライトが見える。建物の単調さに僅かに変化を与えている。

図書館内カフェ

茨城県は県立図書館の1階ロビーをカフェスペースとして提供することを決定。カフェの設計および運営者は公募型プロポーザルにより「星乃珈琲店」となることが決まっています。星野珈琲は複数の飲食ブランドを持つ「日本レストランシステム」が運営するカフェチェーン店。茨城県内では水戸市内の県庁エリアである笠原町に1店舗あるのみ。現時点でさ2店目の出店が「茨城県立図書館店」となる見込みです。公共図書館内にカフェを入店させるケースは全国的にも普及しつつありますが、都道府県立図書館では前例が少ないと言えると思います。エントランスの高天井に響く珈琲カップの音や漂う香りは図書館利用者の心をくすぐるのではないでしょうか。

茨城県庁舎の25階にある展望階には「ティーラウンジ花水木」がオープンしています。また県立図書館から徒歩10分程度の位置にある「水戸芸術館」には茨城のカフェの雄「サザコーヒー」が入店しています。公共施設に有名チェーン店が入るケースが県でも広がりつつあります。

茨城県内の新たな図書館

県が旧建物をリノベーションして図書館化する一方で、県内市町村では新たな図書館が姿を現してきました。「土浦市立図書館」や「結城市立図書」は駅前図書館として都市計画的な観点で街の賑わいを駅前に取り戻す役割、また図書館機能に加えて地域の様々な利用を可能とするスペースを包含しています。

真壁伝承館」は旧来の街並みから継承するデザインを至るところに取り入れ、図書館機能と合わせてホールや展示室、公民館など多機能な地域空間としと仕上げられています。