ゆうき図書館(結城市民情報センター)

ゆうき図書館(結城市民情報センター)

建築

概要

茨城県結城(ゆうき)市にある図書館を中心とした市民情報施設。豊富なレンタルスペースやマルチスペースに加え、地元結城の特産物販店や子育て支援センター、プラネタリウムなど、複合要素を取り入れ利便性を高めています。県内における「駅前図書館」の先駆的事例でもあり閑散化する駅前に人の集積しやすい公共施設をつくることで街の活性化を図っています。図書館は25万冊の蔵書を誇り、子供向け資料も豊富で「こども図書館」としても充実している施設。

設計

設計は三上建築事務所。創業は1934年と県内では老舗の建築設計事務所で、県内に多くの実績を残しています。近年では県外での仕事もプロポーザルを中心に獲得。小中学校などの公立学校や自動車ディーラーなどの商業施設の設計を主力とし、図書館建築では「潮来市立図書館」や鉄道博物館にある「てっぱく図書館」、「吉祥寺図書館」など多数の作品を手掛けています。

建築の特徴

「街のサーバー」というコンセプトのもと、情報の蓄積・発信を常に行い「市民情報センター」としての役割を持たせています。

図書館という物理的な蔵書による情報の蓄積と発信、各種スペースを利用する人々を介し、建物の内外のガラスにより透過することでよりネットワークを表面化する狙いがあるようです。

成人用の図書館は2階、子供用の図書館は1階と上下に分節配置しているものの、ガラスによる透過度が高いため、分断されている意識はそこまで高くありません。

また、その緩衝スペースとなるエントランスホールや2階ホールには図書館や会議室に分類されないフリーアドレス式のデスクやフリースペースが数多く配置されているため、多くの学生が学習スペースとして利用し、またキッズスペースで遊ぶ小さな子供たちのアクティビティも視覚化され、図書館建築にありがちな閉鎖感は感じられません。

大屋根の下にあるメインエントランス。

駅側に開いた大屋根の外部スペース。各種のイベントにも対応。
駅と繋がる歩道橋からのアクセス。
線路に面する立面。ガラスで張り出した階段室がリズムを与えている。

駅前図書館の先駆的事例

当図書館は「駅前図書館」の先導的事例とも言えまると思います。土浦市のアルカス土浦は駅出口からデッキで直結、駅前と駅周辺の活性化を取り戻す試みにより来館者を増加させています。

群馬県の太田市立図書館では同様のアプローチで駅前に独立した図書館・美術館を建設しました。

結城駅は利用者が決して多くない水戸線ということもあり、駅利用者の流入がどれほどあるのかは評価が難しいところですが、フレキシブルな施設に人が集まっていることは確かだと感じられます。一方、駅前の商業施設に活気がないところを見ると国道50号線を中心とした「車社会」の強固さも依然として感じさせられます。

本施設のように子育て支援センターを併設させたり、こども図書館や学生向けのスペースを充実させることが長期的に見て未来への投資に繋がるのではないか、とも思います。