東京大学柏の葉キャンパス駅前サテライト アカデミックと先端的街づくりが調和する外観を持つ東大の駅前施設

東京大学柏の葉キャンパス駅前サテライト アカデミックと先端的街づくりが調和する外観を持つ東大の駅前施設

2021年2月10日

概要

東京大学柏の葉キャンパス駅前サテライト」はつくばエクスプレス「柏の葉キャンパス駅」前に2014年に完成した東京大学が中心となり運営する施設で、現在「東京大学フューチャーセンター推進機構」が管理しています。柏の葉には「東京大学柏キャンパス」があることで知られていますが、その玄関口となる柏の葉キャンパス駅に当施設はあります。柏の葉は「環境共生都市、健康長寿都市、新産業創造都市」という3つの柱のもと、官・公・学の連携により整備・運営が進められています。特に駅周辺には「ららぽーと柏の葉」、「柏の葉 T-SITE」、「KOIL」などの施設が整備されスマートシティとしての持続的な成長を続けており、当建物はその中心的な役割を担います。

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設計

建物の設計は「上野藤井建築研究所」。上野武氏と藤井正紀氏が共同代表を勤める設計事務所です。国立大学を中心とした学校建築に強みを持っており、東大をはじめ、東北大や九州工業大など、全国のキャンパスに作品を残しています。上野氏は千葉大で教授を務め、大学キャンパス整備に関して学問の立場から、また建築家として尽力されています。

建築の特徴

施設は主に東京大学が運営する学術・研究版のレンタルオフィスで、東大や同大発のベンチャー企業、共同研究を行う機関、民間企業などが入居しています。東大は駅から10分程度の場所に柏キャンパスがありますが、当施設は駅前という立地を活かし、より大学とビジネス面の関係を強化した運営を目標としています。

7階建てのうち低層階はコンクリートフレーム、3階から上層階をレンガタイル調の外装として、全体として2層構成を作り出しています。都内のオフィスビルなどで周辺調和の手法として上下方向で変化を作るデザインが多く見られるように、この建物のデザインもその意図が感じられます。隣り合う「つくばエクスプレス」のコンクリートの高架と繋がりを持たせること、線路と街が分断しないような意図が感じられます。

上層階のタイルは東大本郷キャンパスの1号館や2号館で見られるような、伝統的で東大の持つアカデミックな外観を柏の葉に「輸出」したよたような意識も感じられます。一方で外壁面の開口部は大きさを変え、ランダムに配置することで硬さを全体として緩和させています。

スマートシティとしての先端性と学術的な引用を図りながら、新たな街に長く根付く文脈を引き出しながら表現している印象を受けます。

上層階の大きな開口部がアクセントとなっている。低層部は高架レベルを意識していることが読み取れる。左側のルーバーは日射対策の一つと見られる。
低層階は鉄筋コンクリートフレームを表現。柱は規律的に並び芯の強さが感じられるデザイン。柱に形どられた「The University of TOKYO」のサインはさらにその骨格に格式を与えている。柱脚には石張りが用いられている。
エントランス周りはKOILや三井ガーデンホテル側に開きスマートシティとの連携も意識されている。
ややランダムに開けられた開口部がアカデミックな印象を和らげる。
タイル貼りの外観が緑豊かな柏の葉キャンパス駅前広場の雰囲気とマッチする。

アクセス

つくばエクスプレス柏の葉キャンパス駅からつくば方面の徒歩0分の場所に位置。