概要
ミキモトは東京都中央区銀座にある宝飾店。世界的な真珠の製造・販売会社として知られています。銀座に本店(4丁目)と当店(2丁目)の2店、大阪、名古屋、横浜などに直営店を構えています。
設計
建物の設計は「伊東豊雄建築建築設計事務所」と「大成建設」の共同設計。コンペティションで選定されました。伊藤氏は2013年に建築界のノーベル賞と言われる「プリツカー賞」を受賞。代表作として「仙台メディアテーク(仙台市)」、「松本市民芸術館(松本市)」、「信毎メディアガーデン(松本市)」、「多摩美術大学図書館」などがあり、国内外問わず数多くの作品を創出、現在「新水戸市民会館」が建設中であるなど、第一線の活躍を続けています。
大成建設は「地図に残る仕事」を社のテーマとして、新潟県燕三条市の「Snow Peak Headquaters」は自社設計、同じ銀座エリアでは「GINZA PLACE」、「CHANEL GINZA」などが建築家との共同設計となっており、多くの物件で設計・施工による作品を残しています。
2023年4月完成予定 伊東豊雄"新水戸市民会館"水戸芸術館に隣接するやぐら広場のある木質系新市民ホール
建築の特徴
地上9階建の白く細長い形状に開口部がランダムに並ぶ姿が印象的で、数多くの有名建築が立ち並ぶ銀座においても際立つ姿を見せています。この建物は鋼板でコンクリートをサンドウィッチしたパネル(鋼板コンクリート構造)により構成されたチューブ構造となっています。一般的には9階建となると、鉄筋コンクリートの柱と梁によるフレーム(いわゆるラーメン構造)を組み、そこに自由なデザインを施す建築を作ります。
本建築ではランダムな開口部を開けた鋼板サンドウィッチパネル自体を繋いで構造体として構成するという非常に設計・施工難度の高い技術の集積により作られています。構造体の姿がそのまま表層のパネルとして一致しているため、建築の外観上の姿がデザインとイコールとして見ることができます。
工場で作られたパネルを現場で組み立てられますが、パネル構造そのものが外装となるため、ボルトなどの接合ができず、現場溶接だけで組み立てられています。溶接面は凸部となるため、これを丁寧に丹念に削りフラットにして、幾層にも重ねた白い仕上げを施し、最終工程には白い真珠をイメージした「パール」に仕上げられ、「ミキモト」の社のイメージ化に成功しています。
本件のような高難度の建築は施工段階での実現性は、設計段階での技術的な裏付けかが重要になってきます。また、構造設計は伊東氏とパートナーとなることが多く、これまで国内の前衛的な建築のデザインの骨格を多数作ってきた「佐々木睦朗構造計画研究所」が担当しています。
青木淳「LOUIS VUITTON 銀座松屋店」壁面に表現されたブランドコード"ダミエパターン"