概要
ちょっ蔵広場は栃木県高根沢町にある駅前施設。JR宝積寺駅に隣接して建てられ街の案内所や小さな食堂が入居しています。既存の蔵と合わせて新たな商業施設として一体的に計画されました。
設計
設計は隈研吾建築都市設計事務所。JR宝積寺駅に先立って駅前広場が計画されました。県内の隈建築はJR宝積寺駅、那珂川町馬頭広重美術館、石の美術館STONE PLAZA、那須歴史探訪館、作新学院大学があります。
東京都内の近作では「スターバックス リザーブ® ロースタリー 東京」、「根津美術館」、「明治神宮ミュージアム」、「高輪ゲートウェイ駅」、「歌舞伎座タワー」、「東京中央郵便局JPタワーKITTE」など多数の物件で精力的な活動が続けられています。
建築の特徴
既存の蔵に使われていた大谷石を鉄骨フレームに格子状にはめ込んで外壁としています。石積みというハードな外観を格子状に積んで透過させることで軽快な外観を作り出しており、庇の軒裏は外壁面と同じ格子のパターンをパネルで構成し壁面と連続しています。
大谷石は栃木県で採掘される大衆的な石材で栃木県内では多くの民家の蔵や塀などに使用されているのを目にすることができます。石積みは構造上、開口部を設けにくく閉鎖的な作りが大半であるが本建築の工法により大谷石の使い方について新たな可能性を示した作品となっています。
大谷石と建材利用
大谷石は栃木県宇都宮市の北西、大谷町で採掘される凝灰岩。加工がしやすく、宇都宮を中心とする県内全域で蔵や塀として用いられています。
アメリカの大建築家「フランク・ロイド・ライト」が、大谷石の質感に見せられ、帝国ホテルに多用したことで知られています。
一時期は建材として下火となり採掘量も減少していましたが、白い凝灰岩質に「みそ」と呼ばれる茶色の斑点が独特の風合いから、レストランや商業施設の内装材として見直され、また大谷町の大谷資料館にある採掘場跡地が観光スポットとなるなど、近年大谷石の可能性が「再掘」されつつあります。
建築家の間でも建材として活用されており、本建物のように、これまでの標準的な積み方から新たな積み方を探究した作品も出てきており、今後も広い建材利用が期待されています。
石と隈建築
隈研吾氏は2000年代以降、素材の持つテクスチャーを仕上げ材として多様な使い方をすることで、様々な建築を生み出してきました。石を使った建築としては県内那須町にある「STONEPLAZA」、直近作では「武蔵野ミュージアム」などが有名。隈研吾氏が使う素材としては「木」が圧倒的に多い印象がありますが、「石」も新たな使い方を模索しながら、作品を生み出してきています。
アクセス
JR宝積寺駅前に位置。宇都宮駅より東北本線で2駅、13分ほど。