“エスコンシティつくば”筑波西武+クレオ再開発

“エスコンシティつくば”筑波西武+クレオ再開発

2019年1月26日
不動産

「 エスコンシティつくば」リリース

日本エスコンは旧筑波西武跡地、旧イオン跡地の再開発計画のアウトラインをリリースしました。コンセプトは「商/職/住 一体化開発」。解体された旧イオン跡地は同社の共同住宅ブランド「レ・ジェイド」として新築し、旧西武跡地はオフィスや商業施設として再開発(リノベーション)を行うとしています。旧西武建物の4階〜6階はテナントオフィスとして改装。約3,700坪と1フロアの面積が大きい空間が整備されます。

「 tonarie(トナリエ)」3施設

「キュートQt」、「MOG」は「tonarie キュートQt」、「tonarie MOG」としてリネーム。旧西武棟は「tonarie CREO」としてオフィスなどに改装し、3施設と「レ・ジェイド」を合わせて「エスコンシティつくば」として再開発に位置付けているようです。

実質、レ・ジェイドのみ旧イオン棟から建て替えること、街区の区画変更等を行う見込みではないことから「再開発」という設定が適切かどうかはについてはディベロッパーの言い値という見方はあるかと思います。注目は旧西部棟「tonarie CREO」のコンテンツになるかと思います。

「トナリエ」は日本エスコンが駅前の商業施設のリブランドで使用するネーミングで、北関東では「トナリエ宇都宮」がその代表的存在となっています。

「 レ・ジェイドつくば」

「レ・ジェイドつくば」は総戸数218戸の共同住宅。地上18階建で免震構造を採用する方針。物件概要によれば法定容積率400%に対して延べ面積は「29,438.07㎡」、敷地面積が「5,122.17㎡」。容積率算定上の延べ面積からは共同住宅の廊下やEVシャフト、立体駐車場の一部の面積が除外されますので、上限容積率400%ギリギリの計画となっていると考えられます。

建物の形状は「L字型」で南側を土浦学園線、西側道路をバルコニー方向としています。「レーベンつくばコアリス」や「エンブレムつくば」と同様の建て方となります。このことから、いわゆる「タワー型マンションではない」と言えそうです。タワーマンションの明確な定義があるわけではありませんが、東京臨海地区、みなとみらい地区に見られるような超高層の全方位型(各方角に住戸があり、どの方角から見ても同じプロポーション)とは異なりそう、ということです。

このような場合、周辺に対してどのようにしてマンションの「壁」的な印象を和らげることができるかが景観的なポイントとなります。このマンションにとっては裏側が「駅側」となり、視覚的に廊下などの動線が見えてきてしまう点もネックとしてあり、裏側の見せ方の処理が腕の見せ所と言えそうです。

隣駅にある大型マンションのように、南北の景観を分断するような印象が緩和されるようなデザインに期待したいです。

マンションとしてのセールスポイントはつくば駅から徒歩3分という至近性、一体開発のクレオ(旧西武)と合わせ、先に買収しているMOG、Qt(キュート)との複合的な商業施設群との関連性、免震構造、というところかと思います。先行して情報のあった環境配慮型については詳しいことはわかっていません。

免震構造のマンションはつくばでは「パークハウス研究学園」、「デュオヒルズ エンブレムつくば」などがあります。通常のマンションは耐震構造で、これは柱や梁による骨組自体が地震で揺れながらエネルギーを吸収していく仕組み。これに対して免震構造は地上から上の部分は耐震構造の作りと同様(柱の大きさなどは小さく出来うる)ですが、地上部と基礎部分の間に免震ゴムなどの装置を入れ、その層で地震の揺れを減衰させていきます。上部構造にエネルギーが伝わり難いので地震時のダメージが少ない利点があります。簡単に言うと「車」は道路とはタイヤ(ゴム)だけで接しています。安定した地面で激しい横揺れが車に生じたとしても、タイヤとサスペンションで揺れを減衰するため、車そのものにはダメージがありません。一方、建物の場合は、中で生活するため「揺れ方」自体もある程度制御することが求められます。この制御が免震構造では難しいのです。これまで日本や世界で実際に起きた地震の地震波を入力させ、建物に入る力や周期などを見ながら設計していきます。地震波には全国どこで建てても使用する地震波と、サイト波と言われる、そのエリア特有の断層帯から生じる地震波を設定します。

また、免震装置はその建物が立っている間は必ず付き合っていかなければなりませんが、どのような装置をどのような組み合わせで使っていくか、「信頼度の高い装置」かどうかがポイントになります。

 “日本エスコン”プレスリリース「つくばクレオ」跡地取得

2019.3.27付同社プレスリリースにおいて「つくばクレオ」(旧西武棟、旧イオン棟)を取得したことを発表しました。旧西武棟はリニューアルにより新たな施設とし、旧イオン棟は解体のうえ「先進型なマンション」を建設する方針。既に取得済みのQ’t、MOGと合わせてエリアマネジメントにより一体的な開発を行っていくとしています。ほぼ下記の新聞発表(2019.1.23付日本経済新聞北関東版)通りの内容となりました。

不動産を譲渡した筑波都市整備もHPで公式発表。同施設の利活用を検討してきた「つくば市」も「市が関与した再活用は断念した中で注視してきたが、日本エスコン社の今後の開発計画に対して、市の中心部の賑わい創出に期待する」としています。

また、2019.3.28付同紙北関東版によれば旧西武棟はスタートアップなどの拠点としても再生を目指すとし、イオン棟解体後のマンションは環境配慮型の高層となる見込みであるとも触れています。

「日本エスコン」筑波西武、クレオ跡地取得へ。

平成31年1月23日付の日本経済新聞北関東版の記事によると、つくばクレオおよび西武百貨店の跡地を不動産開発「日本エスコン」が取得する方向で調整に入っていることが報道されました。「日本エスコン」は昨年末にも「キュートQt」、「MOG」の取得を発表したばかりで、同紙によれば「西武百貨店」跡地は既存活用とし「イオン」が入居していた「クレオ」は民間マンションに建て替える方向で検討中とのこと。日本エスコンは奈良県内の駅の再開発やマンション「レジェイド」シリーズを供給するなど都市開発には実績があります。

旧西武棟。閉店の半年ほど前に外壁改修をしたばかりだったので外観は非常にキレイなまま。既存活用の方針を出している。左奥はつくば三井ビル。
低層部の旧イオン棟。解体の上マンションとなる。
左側はMOG、歩道を挟んだ右側はQt。こちらは同社が年末にすでに取得済みだった。
左側は商業ビル「BiVi」、右側は西武棟と向き合う「ライトオン、AutoLiv」

なぜ西武やクレオは閉鎖となったのか

兼ねてから西武やクレオが閉鎖に至った要員として言われているのが「ストロー効果」、「ショッピングモールの台頭と車社会」、「駅の構造」です。

ストロー効果

つくばエクスプレスが平成17年に開業後「つくば駅」と「秋葉原駅」が最短45分で結ばれました。かつては東京→つくばの移動は高速バスに限られており、「陸の孤島」とまで言われていた時期もありました。待望の電車の開通により東京への利便性の向上とともに街の活性化に繋がると大きな期待がなされていました。これまでは同地域で百貨店といえば「筑波西武」としてステータス化してましたが電車の開通により気軽に「東京の百貨店」に「吸い上げられて(ストロー効果)」しまったのです。

ショッピングモールと車社会

時を同じくしてつくば周辺に大型ショッピングモールが席巻し始めます。まず研究学園に「イーアスつくば」が開業、続いて土浦に「イオン土浦」、そしてつくばの南に「イオンつくば」と立て続けに超大型ショッピングセンターが開業したのです。もともと茨城県は車社会であったことから、わざわざ駅前の百貨店に車で行くのであれば広大な駐車場を備えたショッピングモールに行くことが自然な選択肢となったのです。

ショッピングモールには多くの専門店やスーパーなどに加え、レストランなども完備し身の回りで必要となる消費がほぼ完結してしまうほどの利便性があり、ショッピングモールでのワンストップ化は県民の大きな魅力となり始めました。

駅の構造

つくば駅は駅周辺の活性化や街の醸成の観点からはその構造に問題があるとも言われています。駅は完全に地下化されていて線路と車や人との交差もなく交通上は「何の問題もない」のですが、視覚的に「駅舎が見えない」、「電車が見えない」ということが駅や電車というランドマーク性を希薄化してしまっているのです。

同じ県内で言えば「JR日立駅」は海の見える立地を最大限に活かした建築により建て替えながらも地域の人から支持を得ています。

同じく常磐線の「JR土浦駅」は今、駅前力を高めようと努力を続けています。駅近に「土浦市立図書館」を含む文化施設「アルカス土浦」をオープンさせたり、旧イトーヨーカドー跡地には土浦市役所そのものが移転し駅への集権を促しています。

西武、クレオ閉館後の動き

西武百貨店、イオンとも閉店後にはテナントが決まらない状態が続いていました。つくば市が中心となり再活用に向けたプランを策定しましたが市議会に理解を示されず市が購入に関与する可能性はなくなりました。

付近ではつくばセンタービルにあるアイアイモールから店舗がほぼ撤退、ダイワロイネットのテナントも全ての店舗が撤退し空室となりました。駅から1分の位置ありながら店舗を閉鎖せざる得ない状況は正直目を覆うばかりです。

このような状況の中、今回の取得に繋がったことは前向きに捉えて良いのではないかと思います。キュートやMOGも含めた取得となればエリア一体の同期的な開発が期待できるからです。

一昔前のデパートや商業施設は建築的には外部に対しては閉じているという特徴を持っています。どうしてもまちづくりの観点からは有利には働きにくい面があります。

駅円周部では公務員宿舎が売却待ちとなっています。マンションを前提とした土地が多数ですのでこれらの動向も気になるところです。

新たな建築を生み出しつつ、既存の施設を活用して行くこれからの動きは目を離せません。引き続きウォッチしていきたいと思います。

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関東・甲信越近辺の新建築・有名建築・商業施設・サードプレイス・風景・公園・ホテル・道の駅などをレビューしていきます。