概要
長野県王滝村と木曽町にまたがる御嶽山の2つのビジターセンターの整備計画。御嶽山の7合目に位置する田の原登山口を「山エリア」、木曽町「道の駅三岳」に隣接する場を「里エリア」として、2つのそれぞれの位置関係や文脈を持たせたビジターセンターを開設、2022年6月のオープンを目指しています。
御嶽山とは
御嶽山は長野県と岐阜県にまたがる単独峰。標高3,067mと国内14番目の高さを誇り、三大アルプス(北、南、中央)に属さない山としては富士山に次いで高い山。標高3千mの単独峰ということもあり、古くから信仰の山として崇められてきました。活火山で平成26年には死者58名、行方不明者5名の戦後最悪の火山災害となったことは記憶に新しいところ。
御嶽山ビジターセンターとは
国立公園などの地理、地勢、自然、動植物などの案内や情報展示、映像、体験など公園利用者に向けた施設のことで、御嶽山のビジターセンターは「御嶽山を知り、火山を理解し、次世代につなげる」をコンセプトに登山者や観光客などに向けた施設としての役割が期待されています。
とりわけ「山エリア」は山の玄関口として自然と登山者をつなぐ山に限りなく近い境界点として、「里エリア」は地域の観光情報拠点、交流などを目的とした位置づけとなります。それぞれの規模は500㎡で展示、休憩スペース、トイレ、事務室などの室を設けられます。
設計プロポーザル
本事業の設計は長野県によるプロポーザル方式により福岡の設計事務所「yHa architects」が最適候補者に選定されました。若手建築家の積極的な応募を期待する観点から参加条件の実績要件は比較的低く設定されたこともあり、90社を超える参加がありました。数回の審査を通して6社が二次審査対象となり、「yHa architects」が最適候補者、次点は「千葉学建築計画事務所」、二次審査対象社は「一級建築士事務所 ikmo」「マル・アーキテクチャ」「遠藤克彦建築研究所」、「キノアーキテクツ」の4社でした。
最適案は「山エリア」、「里エリア」のコンセプトや骨格がしっかりしていること、それぞれの景観を的確に読み取りつつ2つの建物が異なる空間を作り出していることが評価されました。