概要
JR日立駅は2011年に完成した妹島和世デザイン監修の駅舎。駅舎としての機能にくわえ、東西の線路を横断する自由通路としての役割を持っています。「海の見える駅」としても有名で「海と駅」の関係性では必ずと言っていいほど話題となる駅です。
設計
デザイン監修「妹島和世」、設計「ジェイアール東日本建築設計事務所」。施工は「東鉄建設」。当駅は妹島和世氏がデザイン監修していますが、「デザイン監修」という立場で設計に関われるのはネームバリューのある建築家に限られます。
妹島氏は地元である茨城県日立市に生まれ水戸第一高校を卒業後、日本女子大学で住居学を学びました。伊東豊雄事務所で実績を積み、その後独立。西沢立衛とともに設計ユニットSANAAとして活躍の場を広げ、代表作品として「金沢21世紀美術館」、「すみだ北斎美術館」などがあり、国内に限らず、世界的に活躍の幅を広げています。建築家としてはまだ駆け出しとなる20年以上前に日立市内の遊戯施設を設計、その後、県内では「ひたち野リフレ」、「古河総合公園飲食施設」など初期の作品が比較的多く見られます。2019年には公募プロポーザルで選定された「日立新市庁舎」が完成し、本駅と合わせて日立を代表する建築となりました。
建築の特徴
ガラスの箱が駅の東西を横断するだけではなく、さらに延長して海側へ張り出し、まるで海の上に浮いているかのように感じられます。開放感の高いガラスは駅というよりもさながら「空港ロビー」のようで今にも航空機が接岸しそうな雰囲気すら感じます。
「海の見える駅」としては関東では神奈川県鎌倉市の江ノ電「鎌倉高校前駅」、小田原市の「根府川駅」が有名ですが、太平洋東向きビューの当駅は日の出が特に美しく、それを見るために早朝から訪れる人も少なくありません。水平線が曲線であることを強く認識させられるほどの景色です。
橋上駅というと必ず線路横断のため改札に向かって両側から階段で上がる必要があり、通路部分は1階高い部分(2階部分)作られます。当駅では中央口から線路が1段下がった高さにあることから、このレベル差を最大限活用した設計となっています。中央口から見て駅舎が平屋として低く抑えられているため、橋上部分による両口の都市的な分断がほとんどありません。常磐線と貨物駅としての規模も大きく貨物線用ホームの望むこともできます。
先端に張り出したボックス内にはカフェ「シーバーズカフェ」が入店。180度オーシャンビューが繰り出す景色は当然のことパンケーキが有名でカフェとしての評価も高く、駅の集客に一役買っています。中央口側には「日立駅情報交流プラザ」があり地域の案内や物産品の販売スペースがあります。
場所柄、塩害の影響は相当あると思われます。今のような綺麗な状態を維持・継承していくために定期的なメンテナンスや清掃に気を使っていくことなるでしょう。
アクセス
JR常磐線で上野駅から特急で1時間30分です。車ですと常磐自動車道日立中央インターチェンジから車で10分程度となっています。海岸口の駐車場は30分無料ですので駅舎の見学だけであれば十分活用可能です。