2023年3月オープン予定「道の駅まえばし赤城」前橋の新たなショーウインドウ道の駅

2023年3月オープン予定「道の駅まえばし赤城」前橋の新たなショーウインドウ道の駅

2020年10月28日

概要

「道の駅まえばし赤城」は群馬県前橋市の関根町・田口町に新設する道の駅で、2022年(令和4年)12月のオープンを目指しています。新型コロナ対応や世界的な物流停滞を受けて開業が2023年(令和5年)3月に後ろ倒しとなることが公表されました。2022年8月には国土交通省より正式に道の駅登録がされています。

建設予定地付近。手前から奥に延びる新設道路が上武道路(国道17号バイパス)。田畑が広がるエリアで後方には赤城山が控える。

既存の道の駅と新たな道の駅

前橋市内には「道の駅 ぐりーんふらわー牧場・大胡 」、「道の駅 赤城の恵」、「道の駅 ふじみ」と3つの既存道の駅があります。同一市に道の駅が3つある自治体は全国でも珍しいですが、市内を通る国道17号線沿いには道の駅が無いという背景がありました。

前橋市が平成30年度に取りまとめた基本計画によれば、道の駅登録基本3要件である「休憩機能」、「情報発信機能」、「地域連携機能」に加えて「道路利用者の利便性向上」、「安全性確保」、「災害時の防災拠点」、「地域活性化」を備える「総合力の高い道の駅」づくりを目指すとしています。この中でも前橋の最大の強みである「ここにしかない食」と「こだわりの農業」に力点をおいて地域活性化を図る計画です。

「道の駅 ぐりーんふらわー牧場・大胡 」は国道353号線沿いにある牧場を道の駅とした施設でオランダ式の風車がランドマーク。牧場自体をレジャー施設とし、乳製品を使用したソフトクリームなどのメニューが定番となっています。キャンプ場も備えていて、自然体験型の道の駅です。

「道の駅 赤城の恵」は日帰り温泉施設「前橋荻窪温泉あいのやまの湯」を核施設とし、農産品販売所を併設した道の駅です。「道の駅 ふじみ」も日帰り温泉施設「富士見温泉みはらしの湯ふれあい館」を有する道の駅で、深さ1,500mから汲みあげる温泉は関東では珍しく温度が52度あり、本格的な泉質は道の駅というよりは「温泉」施設そのもの。

既存の前橋の道の駅は「温泉」、「温泉」、「牧場」と他県からみれば羨ましいコンテンツですが、これからの道の駅は単なる休憩・物販施設ではなく、機能性の向上や社会構造の変化、人と施設の親和性を新たなニーズとし、コンセプトとして「前橋のタウンリノベーションの核となるモノ×コト×ヒトの結節点としての新しい道の駅」、「平日・休日問わず日常的に賑わう道の駅を達成」の2つを柱とし、新たな付加価値を加えた道の駅作りを目指しました。

「道の駅まえばし」の姿とは

敷地は「赤城と市街をつなぐ前橋の新たな玄関」として、赤城山の広い裾野に位置し、国道17号バイパスという交通量を活かし、県内外からの誘客が期待できる場所を選定しています。計画施設には全天候型の大屋根(ROOF)を架け、その下に箱型の建築物(BOX)をランダムに配置、光を通しながら屋内大空間をつくる壁(WALL)による組み合わせによって、屋根のある半屋外空間の中に表情が異なる様々な店舗や機能を散らばめ、結びつき、訪れる人々を迎えます。大屋根は災害時の臨時防災拠点となり、平時はイベントスペースとして活用できる空間として機能します。

施設は敷地と赤城山を結ぶ軸を意識した配置としています。駅はヒトやモノの中継点として、様々な季節、時間で異なる表情を創り出し、それぞれの場の記憶として刻まれます。

「道の駅まえばし」は整備する施設として、駐車場、トイレ、観光案内所、情報発信施設、物産販売所、セレクトショップ、加工施設、農畜産物販売所、地産レストラン、福祉ショップ、芝生広場、多目的施設、ラウンジ、BBQ、屋外ステージ、カフェ、サイクルステーション、温室、温浴施設、休憩スペース、24時間営業店舗、ガソリンスタンド、生鮮食品販売所などあらゆるコンテンツを内包した「滞在型かつ総合力の高い道の駅」と言えると思います。

総合力の高い道の駅の直近事例としては、同じく北関東茨城県内の国道50号バイパスに2019年に完成した「道の駅グランテラス筑西」があります。物産販売所やレストランなどの基本施設に加え、コンビニエンスストアやBBQ施設を併設したほか、全国初となる「スターバックスコーヒー」の入店で話題となりました。「立寄り型」から「滞在型」の道の駅としての前例です。このほか茨城県内には「道の駅かさま」が2021年9月に、「道の駅常総(仮称)」が2023年にオープン予定となっており同時期に開設を迎える道の駅として注目を集めています。

"2019オープン"「道の駅 グランテラス筑西」

概要 道の駅「グランテラス筑西」は茨城県筑西市に2019年7月11日(木)12時…
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"2021年9月16日(木)オープン"「道の駅 かさま」栗と陶芸の街「笠間」に誕生する新たなゲートウェイ

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"2023年4月28日オープン"「道の駅 常総」アグリサイエンスバレーに誕生した道の駅

概要 道の駅「常総」は茨城県常総市の道の駅。2023年4月28日のオープン。キャ…
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赤城山を控え緑豊かな道の駅が誕生する。

PFI形式による整備と道の駅のコンテンツ

本事業はヤマト・OCOGグループによる「道の駅版PFI」により整備されることとなりました。PFIとは「primitive finance initiative」の略で「民間資金を活用した公的施設整備および運営」のことを言います。

道の駅の一般的なこれまでの整備は所管する自治体が主導し、基本計画、基本設計、実施設計、工事、運営と各フェーズごとに企画・入札を行いながら、様々な業者が分業的に実施して行きます。建物などの不動産も自治体の保有で運営のみ指定管理者(民間)などに委託する方式です。一方の道の駅版PFIは設計や建設から民間資金を活用・運営も含めたトータルでの整備運営方式です。当道の駅では全体をPFIグループによる整備としつつ、トイレや情報発信機能など道の駅登録要件に必要な公的な整備や運営費のみ自治体が負担する仕組みです。大型施設の整備・運営には多額のコストがかかりますが、民間視点での効率的な運営方針のもと、整備・運営を行なっていくこで初期コストを抑制するとともに柔軟な運営や活動にも期待できます。

PFI受諾法人の代表会社の「ヤマト」は地元前橋にある東証一部上場企業で、空気調和衛生設備工事を得意とするゼネラルコンストラクター。「オリエンタルコンサルタンツ」は土木・インフラ・環境の大手総合コンサルタントで近年、道の駅のプロジェクトに積極的に参加。「オリエンタル群馬」はその子会社で公共施設全般の管理・運営を担います。今回「ロードステーション前橋上武」を設立し設計から施工・管理・運営までを一貫して行なって行きます。

今後の予定

正式名称は2021年7月に「道の駅まえばし赤城」に決定。現在工事中で2023年3月のオープン予定となっています。工事と並行しながら道の駅内に出店するレストランやショップなどの公募・選定、メニュー開発などが進められていく流れになります。