みどり市立富弘美術館

みどり市立富弘美術館

建築

概要

群馬県みどり市の草木湖畔にある市立美術館。旧東村の出身である画家で詩人の「星野富弘」の作品を主に展示しています。

群馬県と栃木県の県境に近い山間部というアクセスにありながら、年間20万人弱のペースで来館者数を刻み続ける人気の美術館です。

星野富弘は体育教師として活動中に怪我により手足が不自由となり入院中に口に筆を咥えて絵や詩を描きはじました。

花の水彩画を中心にそこに詩を載せる手法で数多くの作品を描き、その作風は絵葉書などを代表として様々な媒体で広められています。

星野富弘作品が注目されるに伴い旧美術館が手狭になってきたことから新たに新美術館の建設が計画されました。

富弘美術館エントランス。壁面の小さな孔はガラスが嵌め込まれ、下に行くほど大きくなる。壁面にグラデーションを与え変化を付けるとともに室内からは屋外の緑化を覗くことができる
遠景。国道沿いにあり奥は足尾、日光へと繋がっていく

ヨコミゾマコトと建築

本建築の設計は国際コンペにより1,200を超える作品の中からヨコミゾ氏が最優秀案に選ばれ話題となりました。

ヨコミゾ氏は東京芸術大学を卒業後、伊藤豊雄氏の事務所などを経て、設計事務所を設立。現在では同大学の教授を務める傍ら「新発田市庁舎」の設計を手がけるなどプロフェッサーアーキテクトとして活動の幅を広げています。

この建築は52m角のフラットな正方形の中に33個の円が5m〜16.4mと異なる大きさで嵌め込まれ、それぞれの円の中を展示とした機能が割り当てられています。

エントランスの半円の掘り込み空間に始まり、センターロビーを中心として複数の円が周りを囲み、それぞれの円は反時計廻りの動線によって展示空間を回っていく仕組みです。

展示室、ロビー、全室、ロッカー室、トイレ、カフェ、ショップ、機械室、収蔵庫、廊下など全ての室が「円形」をベースとしており、外周部では直線によって切り取られ「半円形」となることで外部に開いた空間となっています。

一見、美術館としては使いにくそうな印象を与えますが「円を歩いて回る・止まる・見る」という周遊性は人の歩行にシンプル溶け込み、花の水彩が並ぶ空間は人口的な花畑を連想させます。

円と円の外円によって囲われた部分は屋外として坪庭の役割を果たしており、壁面に埋め込まれた丸い小さい窓から小さなプランターを見るように覗くことができます。花の水彩画と緑の視線の交換の役割を持たせています。

9mmの鋼板を円形に加工し、それぞれの円を箱に収める工事は非常に難易度が要求されました。建設地は標高が500m近くあり、冬は非常に気温が下がることもあって、作品の温度、湿度面での管理には細心の注意が払われています。

空から眺める建築

本建築は「空から眺める建築」としても知られ、衛星写真からはまるで「平面図」のように円が嵌め込まれた様子が見てとれます。

スクエアの中に直径の異なる33の円が接し、交わる様子が一目瞭然。美術館からはこの平面を見ることができない。
草木湖の前面に位置する。湖畔までは散策路が整備されている。
対角の交差点方向から見る。

ガラスの様々な模様や映り込みによって花や緑や水の印象をまた異なる視線で楽しむことができる。
ガラスを主体としつつ、石や金属など多用な外観仕上げ材が用いられている。反射により多層的な外観を作りだしている

アクセス