概要
「とらや工房」は和菓子で有名な「とらや」の工房で、静岡県御殿場市東山にあります。東山地区は古くより避暑地として別荘が建てられてきたエリアです。本施設も旧岸信介の旧自邸がある敷地に隣接しており、自邸が御殿場市に寄贈されたことを受け「御殿場ミュージアムパーク」構想の一部として整備、とらやが指定管理者として管理しています。
とらや工房はその敷地内に「和菓子の原点を今の時代に再現してみたい」という社のコンセプトのもと計画されました。
設計・施工
設計は内藤廣建築設計事務所。内藤廣氏は「JR旭川駅」、「みなとみらい線馬車道駅」、「十日町情報館」、「古河総合公園管理棟」、「安曇野ちひろ美術館」、「安曇野市庁舎」などの作品があるほか、とらやでは「TORAYA TOKYO」、「とらや東京ミッドタウン店」、「とらや一条店」などの設計を担当、市内にある「とらや御殿場店」も手掛けています。
施工は鹿島建設。県内では「静岡大成中学校、高等学校」、「静岡市庁舎新館」、「Y-TOWN御殿場」などの施工または設計・施工を行なっています。
建築の特徴
切妻屋根を持つ長屋は緩やかに湾曲して庭を取り囲むようになっており、地図を見るとカーブした散策路をつなぐように配置されていることが分かります。カーブした建築は内部からでも自身の姿を見やすくし、囲いによって庭という環境を内部に取り込む意図が感じられます。
端から厨房、販売所、テラス席、喫茶席と並び、相互に見える関係にあって緩やかに結びついています。
建物だけでなく、庭、菓子、煎茶と作り出されるものも含め、作品性が感じられる佇まいを見せています。
設計者である内藤廣は「人のいやすさ」をテーマに数々のの作品を生み出してきており、必ずしも流行を負わず、長い時の流れにも耐えうるデザインを目指しています。吉田五十八設計の旧岸信介自邸は吉田の晩年の作品ですが、一貫して数寄屋建築を貫いてきた吉田と通ずる信念が感じられます。
アクセス
東名高速道路第2ICより約10分。駐車場(無料)あり。アウトレットから近いこともあり、時期や時間によっては混雑します。