概要
ミキモトは東京都中央区銀座にある宝飾店。世界的な真珠の製造・販売会社として知られています。銀座にこの本店(4丁目)と「MIKIMOTO2(2丁目)」の2店、大阪、名古屋、横浜などに直営店を構えています。
設計
建築設計は鹿島建設の設計部門「KAJIMA DESIGN」。施工も鹿島建設。世界的にみて設計は設計事務所、施工はゼネコンという分業スタイルが一般的である一方で、国内の大手ゼネコンには組織としての設計部を古くから有しており、民間事業を中心にビルや商業施設、タワーマンション、研究施設、工場など多くの作品を残すなど、KAJIMA DESIGNは高い施工技術に裏打ちされた設計技量を持ち合わせています。
大手のゼネコンは公共工事の設計が原則、受注できないため、世間的な知名度(公共建築が少ない)が上がりにくいという側面を持っています。これは公共的なプロジェクトの設計や施工の入札を分業により公募しており、設計と施工の会社は同一の会社や資本関係にある組織は両方の業務を受注できないためです。
鹿島建設(KAJIMA DESIGN)は三菱電機やCANON、資生堂、イオン、アステラス製薬、中外製薬などの大企業案件を引き受けている傾向にあります。八海醸造「魚沼の里」では「八海山雪室」、「猿倉山ビール醸造所」も手掛けています。
外装設計は内藤廣。内藤廣は木構造を得意とする建築家で「安曇野ちひろ美術館」や「JR北海道・旭川駅」、「JR高知駅」、「JR日向駅」など。店舗では「とらや工房」をはじめ、「とらや」の複数の店舗を手掛けています。
建築の特徴
地上12階建のファサードに約38,000のガラスピースにより構成された「春の海の光景」が表現されました。ミキモトは真珠を生産する企業として伊勢志摩の鳥羽に養殖・生産拠点である「ミキモト真珠島」を保有しており、周囲の海にはアコヤ貝が養殖されていています。また、銀座はミキモトの販売拠点として長い歴史を持っています。「伊勢志摩の海の煌めき」と「銀座の煌めき」の共通項がガラスピースのファサードとなって多くの人々を、惹きつけています。
ガラスピースはw280mm×d70mmのフロートガラスを合わせて1ピースとして、それを市松状に水平使いとして立面を構成しています。ガラスは全て手作業により組み立てられ、ミキモトの真珠に対する扱いがそうであるように、一つ一つのピースを職人が作り上げました。ガラスは国内で多くの実績を持つ「三芝硝材」が手掛けました。
夜間にはガラスピースをスクリーンとして白色の照明を浮かび上がらせ、きめの細かい、昼とは異なったファサードを作り出しています。ガラスピースの一つ一つに灯を蓄えたその姿は真珠を壁面に均一に敷き詰めたような輝きを灯しています。