概要
JR北海道旭川駅駅舎。旭川市は北海道で札幌に次ぐ34万の人口の都市で札幌とは136kmの距離を約1時間30分で結んでいます。旭川駅は宗谷本線、富良野線の起点となり石北本線の主要駅。
宗谷本線は特急「サロベツ」や「宗谷」で稚内、石北本線は特急「オホーツク」で網走、富良野線は在来線で富良野へと繋がります。
数多くの特急が停車する北海道を代表するターミナル駅として通勤・通学、そして多くの観光客が利用しています。
4代目となる現在の駅は「川のある駅」として前面を流れる「忠別川」との親和性を重視した造りとなっています。
設計
設計は内藤廣とJR北海道、日本交通技術。内藤廣は木構造を得意とする建築家で北海道では道内有数のレストラン「マッカリーナ」、美瑛町のレストラン・パン店「bi.ble」を設計。本州では「安曇野ちひろ美術館」や「とらや工房」などが有名。
駅舎の設計はこの旭川駅を足掛かりとして「JR高知駅」、「JR日向駅」、「みなとみらい線馬車道駅」など以降の実績は豊富です。
建築の特徴
札幌に次ぐ都市の駅舎で複数の特急路線が乗り入れるターミナル駅という都市・交通面の中心で、忠別川を前面とした自然との調和、大雪山・十勝岳連峰を遠くに眺める景観など環境面への配慮も併せて主要な課題とされていました。土地区画整理、橋の架け替え、公園整備、駅の高架化など様々な課題とともに都市の再編という設計から完工まで17年の長期大型プロジェクトの一貫という位置付け。
旭川は冬季にはマイナス20度近い気温となることもあり、積雪も多く厳冬地として列車や人を暖めるような空間造りも必要とされました。
建築は17本の鉄骨トラス柱を配置して屋根を全覆させています。トラス柱は木の幹が空に向って枝が伸びるように文字通り「林立」ししながら鉄の硬いイメージを和らげています。構造設計は構造家の川口衛さんが担当。
壁面は全体がガラスに覆われています。ガラスの持つ透過性を活かし、高架化によって生じる駅のボリューム感を最小化して視界的な分断を抑え、冬季の日射取得にも貢献しています。
外観とは裏腹に内部は北海道のタモ材をふんだんに使用した内装空間が広がります。壁や天井、階段など温かみのある意匠となっています。木質空間は内藤氏の最も得意とするところ。
内部には多数の椅子やテーブルなどのファニチャーが置かれているのが分かります。旭川は家具の街としても知られていますが、「旭川家具ラウンジ」として、実際に使いながら確かめる事もでき、ショールーム的な役割も果たしています。