概要
「ユニクロPARK横浜ベイサイド店」は神奈川横浜市「三井アウトレットパーク横浜ベイサイド」に隣接してオープンしたユニクロおよびGUの旗艦店(コンセプトストア)です。「ユニクロが公園になっている」をコンセプトにデザイナーの佐藤可士和氏をプロデューサーとして企画・開発されました。前面に広がる横浜・東京港と高級クルーザーが停泊するマリーナを目の前に誕生した「屋根とすべり台の空中公園」は南横浜のウォーターフロントに新たな価値を吹きこんでいます。
本作は「改正意匠法」に基づく「建築物の意匠」により意匠登録された国内第一号の建築物として知られています。
設計・デザイン
建物全体のコンセプトはデザイナーの佐藤可士和氏が、建築の基本構想とデザイン監修を建築家の藤本壮介氏が担当しました。
藤本氏は東京大学卒業後、建築設計事務所を設立。出身地である北海道での実績を積み重ねながら、400件近い参加があった「青森県立美術館」の国際コンペティションで次点に選出されて知名度を高め、その後は同じくユニクロの旗艦店である「ユニクロ心斎橋店」の設計を手がけたほか、「武蔵野美術大学図書館」、「武蔵野美術館大学美術館」など多数の実績があります。
本施設をトータルプロデュースしたグラフィックデザイナーの佐藤可士和氏はユニクロのロゴをデザインしたことで知られているほか、ニューヨークなどのユニクロ海外旗艦店のプロデュースも担当。デザイナーとしても数々の有名商品パッケージなどを手掛け、常に第一線の活躍を続けています。2人は真っ白な箱体を作った「ユニクロ心斎橋店」でもタッグを組んでいました。
建築の特徴
高級クルーザーが目の前の海に浮かび、その奥には房総半島まで見渡せる、この最上のウォーターフロントに「ユニクロPARK横浜ベイサイド店」は誕生しました。海に向かって下るように配置された階段と滑り台が屋根自身となり、見る者の好奇心と期待感を一気に高めます。建物内はユニクロとジーユーの合同店舗となり、1階から3階まで建物の階段形状に合わせるようにセットバック、階段から立ち上がるガラスボックスが各階の店舗のエントランスを示しています。
建物は鉄骨造にALC系の外壁パネルを取り付けた上に白色の複層塗材を仕上げとしたシンプルな建築素材を組み合わせています。本質的なところでは品質を重視しながら、コストパフォーマンスも意識するというユニクロのアイテムに通じるような社のスタンスも感じられる建築です。
ユニクロと建築
ユニクロの店舗は全国で約800あります。国内の店舗数はこの5年で現状維持、一方海外では約1,400と5年で1.5倍のペースで増加しています。店舗形態は都心部では商業施設内のテナントとして、郊外ではショッピングセンターのテナントや一軒の店舗として展開しています。
ユニクロにはコンセプトストアが国内には数店誕生しています。そのうちの1つがこの「ユニクロPARK横浜ベイサイド店」、このほか大阪心斎橋に「ユニクロ心斎橋店」、東京銀座には「ユニクロ銀座店」、「UNIQLO TOKYO」は「ヘルツォーク&ドムーロン」のリデザインによりオープンしています。
ヘルツォーク&ド・ムーロン「UNIQLO TOKYO」外国人建築ユニットによる旧プランタン銀座リノベーション
ユニクロ(ファーストリテイリング)ほどのカンパニーには社内に店舗開発部門がありますので、多くの店舗では社内開発を行いつつ、コンセプトストアなどでは有名デザイナーや建築家のコラボレーションにより核となる店舗を誕生させるような戦略を持っています。
ボーネルンド社の遊具とのコラボレーション
屋上に配された遊具は老舗玩具・遊具メーカーの「ボーネルンド社」によるもので、屋内プレイルーム「キドキド」をプロデュース・運営。遊具を主体とした「あそび」に関するプロフェッショナルとして監修に携わっています。屋上に設置されたネットジャングルジム、デコボコクライミング、ウッドクライミング、トドラープレイエリア、ボルダリング、滑り台など、ボーネルンドの遊びのDNAがここの傾斜屋根に詰め込まれています。
アクセス
電車では、横浜シーサイドライン「鳥浜駅」下車で徒歩8分(住所 神奈川県横浜市金沢区白帆6-5)。車では首都高湾岸線杉田出入口から約5分。駐車場は隣接するアウトレットパークと合わせ3,000台。3,000円以上の購入で3時間無料サービスあり。