概要
アマンリゾートは北海道ニセコ町のモイワエリアに「アマンニセコ」を開発することを発表。2023年のオープンを目指しています。
アマンリゾーツは世界の高級リゾート地を中心に最高グレードのホテルを展開しており、日本国内では、「アマン東京(大手町タワー)」、「アマネム(伊勢志摩)」、「アマン京都」に次いで4物件目のプロジェクトとなります。
ニセコや倶知安エリアの高級ホテルやコンドミニアムと言えばパウダースノーの聖地「ニセコアンヌプリ」を背景としたスキーイン・スキーアウトが一つのステータス化として定着していましたが、アマンはニセコアンヌプリと隣り合う「モイワ山」に広がるモイワスキー場の麓を拠点として選定。
モイワエリアは広義にはニセコであることは違いないですがニセコの花形エリアから敢えて外したロケーションを選択した意図はどのようなところにあるのでしょうか。
場所
モイワ山はニセコアンヌプリの南側にある標高839mの山です。ほぼ山頂から下ることができるモイワスキーリゾートは標高差470m、滑走距離2,000mを有するスキー場です。雪質の良さはもちろんのこと、積雪量ではニセコアンヌプリを上回るという話もあります。
「モイワ(藻岩)」という山や地名は北海道にはいくつかあり、北海道で単に藻岩山というと札幌の観光スポットである藻岩山の方が馴染みが深いかもしれません。それと区別するため「ニセコモイワ山」と表記されることもあります。
このエリアは「ニセコ昆布温泉」としての知名度の方が高いかもしれません。100年以上の歴史を持つ温泉で、美白効果の高い泉質が特徴。温泉地としての背景もあることから温泉旅館やホテルも少なくありません。
「ワンニセコリゾートタワーズ」や「ニセコ昆布温泉 鶴雅別荘 杢の抄」などのホテルが近隣エリアにあります。
「スノーイン、スノーアウト」がニセコの一つの開発目標となっていますが、この点ではアマンはモイワスキー場との隣接性を最大限に活かしたレイアウトを実現してくるのではないかと思います。
設計はケリーヒルアーキテクツ
建物の設計は「ケリーヒルアーキテクツ」。国内のアマン(京都、東京、伊勢志摩アマネム)の設計すべてに関わったアマンの代名詞的な設計事務所です。
ケリーヒルはアジア全域に渡る高級リゾートを中心に数多くの作品を排出してきましたが、設計事務所の代表であった「ケリーヒル」氏が2019年秋に他界されました。
アマンニセコの設計はどうなるのか、と思われるかもしれませんが組織としての設計事務所が引き継いでいくと思いますので実務的には問題ないと見られます。
本プロジェクトは2019年末に公表されることとなりましたが、その時点で公開された予想図は既に外観・内観の完成度の高さを示されていました。氏が存命中に全体や核となるコンセプトは明確に抽出していたのではないかと思います。
しかしながら海外の設計事務所が単独で日本国内で仕事を進めるのは困難を極めます。日本の国内法が適用されることに加え、リゾートエリアとなると複雑な開発許可を乗り越えなければなりません。このため施工を前提とした大手ゼネコンの設計部などを含めたメンバーとチームを組み、設計を進めていく流れとなるのではないでしょうか。
建築計画
30室用意されるホテルと31棟の分譲型レジデンスがスキー場の中腹に計画されます。
ホテル棟には各室に引かれた温泉、日本らしさを感じやすいシンプルながらも上質な内装にニセコの自然を多分に享受できる景色を取り込むデザインが施されます。
分譲レジデンスは一棟800㎡という別荘としては超大型のプランニングで、棟内複数の部屋の整備はもちろんのこと温泉や暖炉などを備え、専用車庫やスキールームなど別荘ならではの機能も合わせ持ちます。分譲価格は1棟20億円という報道もあります。内外装には地場の石や木材を使い日本の伝統文化も感じられるデザインが施されます。
アマンニセコ完成は2023年。近隣では先立ってザ・リッツカールトン・ニセコ(2020年)、オーセント系ホテル(2020年)がオープン
同じく2020年冬にはニセコヴィレッジ内に「ザ・リッツカールトン・ニセコ」がオープン。
また、「オーセント系ホテル」が樺山地区に2020年オープン。