概要
千葉県野田市は県の最北西部にあり北側を利根川、南西側を江戸川が流れ、古くより水運の街として栄えてきました。その水運を活かし、醤油の街として栄え現在でも「キッコーマンの企業城下町」として知られています。埼玉と茨城に隣接し国道16号線沿いを中心道路とした都市が形成されています。
千葉県は関東では道の駅の数が多く、人気の道の駅やランキングにも必ず登場します。野田は千葉県の北西部にありますが道の駅は空白地帯となっていました。
都市の防災機能の強化や街の魅力発信、地域活性化に繋がる拠点つくりという視点に立ち「道の駅」の設置を計画中で、2020年現在「野田市道の駅整備検討委員会」において道の駅の方向性を踏まえつつ、「基本構想」と「基本計画」を令和3年度を目処に取りまとめる予定となっています。
道の駅候補地は未定
候補地は現時点では公表されていません。複数の候補地を念頭に防災、交通利便性、集客性、地域活性化など様々な指標を元に立地を比較検討し、最適な候補地選定が進められていくことなります。基本計画の取りまとめ段階で具体的な候補地の提示となるのではないかと考えられます。
立地でポイントとなるは防災面、とりわけ河川の「洪水ハザードマップ」による浸水が想定されていないエリアという条件です。2河川に挟まれている半島型の野田市の立地特性において避けては通れない事項で市の北側はほぼ全域が浸水想定エリア、南側の国道16号沿いエリアは浸水想定から外れています。
道の駅に求められる最重要機能として災害時の防災拠点となることから、候補地選定においてプライオリティが高くなると思われます。
目指す道の駅の姿
野田市が目指す道の駅の機能は「休憩機能」、「情報発信機能」、「地域連携機能」の道の駅の基本3要件に加え「防災拠点機能」、「自然再生機能」を付加しています。
市は野田の強みとして「豊かな農産物(米、枝豆など)」、「醤油の街」という利点を活かし、また野田の弱い面として「駅力が弱く、街としての拠り所が無く観光資源に乏しい」と分析しています。
農産物を活かす視点では「ファーマーズタウン野田」、「アグリパーク野田」をキャッチフレーズとして米や枝豆のほか、様々な野菜の販売や加工品の提供が想定され、野田を代表する「醤油」は主役として販売、調味料として使った料理、加工食品などの展開が考えられます。
近隣の直近事例として「道の駅グランテラス筑西」、「道の駅ましこ」などを含め、多くの関東圏の道の駅を参考として位置付けているようです。
水資源を活かした計画としては、建設中ながら「道の駅龍ヶ崎」が参考に、野田からも近く、利根川にも近い「道の駅さかい」なると思います。
今後の方向性
令和元年に「基本計画」業務をプロポーザル方式により選定された「東京建設コンサルタント」社が請け負いました。道路や河川を中心とした土木コンサルタント会社で道の駅に関する複数のコンサルティングの実績を持っています。市や委員会と一体となって道の駅の基本計画をまとめています。基本計画は市民へのパブリックコメントなどを反映していくでしょう。
その後、市議会での承認や道の駅の登録、指定管理者の選定などを通して全体の実施設計、そして工事へと繋がっていきます。完成予定は示されていませんが、類似事例等の実績に鑑みれば、用地の確保がスムーズに行えることを前提として、基本計画の策定から5年程度が完成の目安となるのではないでしょうか。