概要
「那須芦野・石の美術館 STONE PLAZA」は栃木県那須町芦野にある石をテーマにした美術館で2000年に完成。芦野地区は栃木県の北部にある那須町にあり、石の町として知られ、古くより「芦野石」を産出してきました。地区内には芦野石により建造された石蔵が数多く残されており、本美術館も使用されなくなった石蔵を石の美術館としてリニューアルしました。
設計
設計は隈研吾氏。栃木県内の隈建築はJR宝積寺駅、那珂川町馬頭広重美術館、那須歴史探訪館、作新学院大学などがあります。現在では全国に、また世界的にも多数の実作を残していますが、本美術館や那須歴史探訪館、那珂川町馬頭広重美術館などは2000年前後の作品で、まだ実作が少ない時期に栃木を中心とした実績から、建築家として切り拓いていったように思います。
建築の特徴
敷地内にあった大きな既存の石蔵2棟。1棟はエントランス、受付、カフェとし、もう1棟を展示空間とし、敷地を囲い、また繋ぐように新たに現代的な芦野石のボックスを配置しました。
各室は敢えて「離れ」として配置しているため、水の上に敷かれた通路を通りながら、緊張感を保ちながら次の空間に移動していきます。
細くカットされた芦野石は横積みを基本としながら、スリットが設けられており、そこから内外の景色を垣間見ることができるとともに、暗めの室内に光の差し込む役割を果たしています。
芦野石
芦野石は那須町芦野から福島県白河市に繋がる国道294号線沿いの山で採掘される石で、安山岩(石英安山岩質溶結凝灰岩)に分類されます。
同じ栃木県では「大谷石」の知名度が高く、同じ安山岩質の石であることから比較されることも少なくありません。大谷石の質感は芦野石と似ていますが「みそ」と言われる斑点があるのが特徴です。
一方「芦野石」は大谷石のように斑点が控えめでより均一で緻密な印象がありながらも、温もりが感じられる石です。また、耐久性や耐火性に優れながらも加工性も良いことから、様々な場所で見ることができ、建築以外にも敷石や塀などの積み石などでも使われています。
石と隈建築
隈研吾氏は2000年代以降、素材の持つテクスチャーを仕上げ材として多様な使い方をすることで、様々な建築を生み出してきました。石を使った建築としてはJR宝積寺駅前の「ちょっ蔵広場」が同じ栃木県内にあるほか、直近作では「武蔵野ミュージアム」などが有名。隈研吾氏が使う素材としては「木」が圧倒的に多い印象がありますが、「石」も新たな使い方を模索しながら、作品を生み出してきています。
徒歩圏内の那須歴史探訪館の床も一面が芦野石が貼られています。
アクセス
那須高原SAから約20分程度。