概要
茨城県桜川市(旧真壁町)にある」真壁伝承館」は図書館、歴史資料館、ホール、会議室、スタジオ等からなる公共複合施設。昭和40年代に建てられた公民館や歴史民俗資料館などの公共施設が老朽化したことから、これらを集約しつつ、新たな価値として新築されることが計画されました。
場所は旧真壁町の中心地区にあり、藩の陣屋跡地に位置しており歴史的建造物が立ち並ぶ中心地区での建設が最大のテーマとなりました。
図書館は約17,000冊の蔵書、歴史資料館は周囲から出土された品を中心に展示、歴史的街並みを模型などを使用してわかりやすく展示しています。東大総合総合研究博物館の監修によりまとめられています。
公民館機能には複数の会議室、音楽室、調理室、和室、市民ギャラリーなどがあり様々な市民活動に対応しています。真壁ホールは最大約300席のコンサートや平土間に可変してあらゆるイベントに対応しています。
設計
設計は「設計組織ADH」。木下庸子氏と渡辺真理氏(夫妻)が共同主宰する建築設計事務所。代表的な作品としては「東雲キャナルコート」などUR(都市再生機構)の仕事が多いですが、個人住宅や庁舎(兵庫県西播磨総合)も掛けている建築事務所です。110社に上るプロポーザル方式の公募参加者の中から本設計事務所が選定されました。
建築の特徴
本計画はプロポーザルでも評価を得た「サンプリング」と「アッセンブリー」という建築計画手法によって実践されました。既存の歴史的町並みに合わせるため、既存の町屋のスケールを詳細調査(サンプリング)したうえで、新たに計画される要素を組み合わせ、レイアウト(アッセンブリー)を検討し、市民ワークショップの場で何度も議論されながら生み出された図面をもとに作られた建築です。
敷地を含む真壁地区は「重要伝統的建築群保存地区」に指定され、400年変わらない区割りの中で、江戸・明治・大正・昭和と長い年月の中で建てられ保存されてきた歴史的に価値のある街並みです。
その歴史に呼応するかのように建物は切妻を連続させて、図書館と資料館、公民館とホールによって「変形コの字」型の平面が作られ、中心部が中庭でありエントランスに導く外部動線となっています。敷地を縦断できる街路ともなっています。
一方が白い壁、もう一方が焼杉の黒い壁となり、そのコントラストがそれぞれの美しさを際立てています。図書館の白い壁には一見ランダムな開口部が数多く設けられています。これも「サンプリング」の結果として周囲の街並みに呼応する「アッセンブリー」によって最適配置されています。
「真壁伝承館」という名称は公募から選定されました。「図書館」や「ホール」という名前をあえて使わず、この施設がこれまでの長い歴史の振り返りであるとともに、これから長い時間をかけて、様々な活動や展示などを通して地域や来館者などに「伝承」していくということが意味に込められているように感じます。
アクセス・開館時間
住所 茨城県桜川市真壁町真壁198
車は東京方面からは常磐自動車谷和原ICから約42km、約1時間。駐車場はありますが多くはありません。伝統的街区ということもあり、道幅も広くありませんのでご注意下さい。
電車の場合は最寄りはありません。下館駅からタクシーを利用するか、つくば駅などからレンタカーを利用するなどの方法があります。
開館時間
歴史資料館 午前9時 ~ 午後4時30分
真壁図書館 平日 午前10時 ~ 午後6時、土・日、祝 午前 9時 ~ 午後5時