概要
坂東PAは圏央道(首都圏中央自動車連絡道路)に新たに整備されるパーキングエリアで茨城県内坂東IC(インターチェンジ)から東側の田園エリアに計画されています。圏央道は開通からの歴史が浅く、供用を優先して対面通行区間も併用されていることもあり、数少ないSAやPAで運用されてきました。特に今回設置が計画されている区間は、交差する東北道、常磐道を除けば西は菖蒲PA、東は江戸崎PAでこの間76kmもあって休憩施設の空白区間の状態が継続しており、早期のPA開設が切望されていました。
パーキングエリアは「上り・下り」分離型のPAが計画されており、西行き(茨城→埼玉方向)方向のPAには一般道からアクセス可能な「地域利便施設」の設置もされる予定となっています。兼ねてから坂東市で設置が検討されていた「道の駅坂東計画」は単独では実現困難とされましたが、本PAに防災拠点や地域利便施設を設けることで道の駅に代わる機能の一部を持たせることが期待されています。
高速道路供用施設(駐車・トイレなど)はNEXCO東日本が、地域利便施設など一般道供用エリアは坂東市が主体となって整備を進めることとなり、4車線化を含むPAへのアクセス道路や駐車スペースの工事は既に着工しています。
坂東PAには何ができるのか
2020年までに関係機関(国土交通省、茨城県、坂東市、東日本高速道路(株))により検討された「坂東パーキングエリア(仮称)整備方針」などによれば、「上下線分離型のPA」を整備すること、坂東市が「地域利便施設」を整備すること、圏央道の南側に接する「桜の里山」を極力残置しこれを活用した計画とすることがまとめられています。
キャッチコピーを「緑あふれる”まさかどの郷”坂東」として、単なる休憩エリアではなく、地域の特徴を発信していく役割も持たせることにしています。高速道路と一般道のどちらからもアクセス可能な地域利便施設はコンビニエンスストアの設置を主として検討が進めらています。
西側の菖蒲PAは「上下線集約型PA」(上り下りで同じスペースを共有する方式)としてセルフ型のレストランやショップに加え、ガソリンスタンドがあり、よりSAに近い形態。一方、東の「江戸崎PA」には駐車スペースとトイレ、自販機など最小限の設備となっています。「坂東PA」はコンビニエンスストアを有することで、双方の中間程度の規模となり、合わせて近隣の自然を活かした一体型の整備となる見込みです。
千葉県内では神崎PA、山武PAの整備計画も進む
坂東PAの開設により圏央道全区間の休憩施設の空白が埋められるというわけではありません。利根川を越えた千葉県区間では圏央道の整備が現在も進められていますし、茨城県内を含めた片側1車線区間→2車線化も進められています。このようななか、千葉県区間もPAの空白区間を補う計画が進められています。このうち「神崎PA」は茨城県から利根川を渡って隣接している「道の駅発酵の里こうざき」と連携したPA作りが進められています。非開通区間を挟んだ山武市内にも「山武PA」の設置が計画されており、圏央道全区間での休憩施設の補完が進められています。
坂東PA周辺の道の駅
併設される「地域利便施設」は高速道路と一般道からアクセスできる「道の駅」のような機能を持つことが期待されていますが、付近のエリアにはいくつかの新たな道の駅や計画中の道の駅があります。
「道の駅さかい」は境町にある利根川沿いの道の駅で、かつて海運で栄えた街の蔵のイメージで作られており、2019年には「レストラン茶蔵」がオープンし話題を集めました。
同じく2019年に筑西市にグランドオープンした「道の駅 グランテラス 筑西」は北関東の大動脈である国道50号線沿いに完成した「ハイブリッド道の駅」で、デパ地下のような道の駅として集客しています。
現在計画中の道の駅として「道の駅 常総(仮称)」があります。坂東PA予定地の一つ東のICである「常総IC」と交差する国道294号沿いに建設中。アグリサイエンスバレーと言われる農業と産業をマッチングしたエリアの中心施設となることが期待されています。
西の五霞ICの近くには「道の駅ごか」があり、道の駅利用者を想定して3時間以内の再入場であれば初乗り料金が掛からない制度(ETC2.0に限る)が採用されています。現在空白区間の穴埋め的な役割を果たしていますが、「道の駅常総」には同じような役割が期待されます。