概要
「WITH HARAJUKU(ウィズ原宿)」は渋谷区神宮にある商業施設、ホール、共同住宅からなる複合施設で2020年にオープン。敷地は古くから「源氏山」と呼ばれる高台があった場所で、神宮内苑・外苑や表参道を見下ろすことができる場所に立地しています。
設計
本事業はNTT都市開発が事業主として、全体の建設コンサルタントをアール・アイ・エーが取りまとめ、建物の設計は「伊東豊雄建築建築設計事務所」と「竹中工務店」が担当しています。伊藤氏は2013年に建築界のノーベル賞と言われる「プリツカー賞」を受賞。代表作として「仙台メディアテーク(仙台市)」、「松本市民芸術館(松本市)」、「信毎メディアガーデン(松本市)」、「多摩美術大学図書館」などがあり、国内外問わず数多くの作品を創出しています。同エリアである表参道沿いにある「ケリングビル(旧tod’sビル)」は同氏による設計。
共同設計・施工を手掛ける竹中工務店は国内最大手のゼネコンの一つで、原宿・表参道エリアでの実績も多く「GYRE」、「PRADA青山店」、「MIUMIU青山店」、「Apple Store 表参道」など複数の有名物件で実施設計・施工を手がけています。現在建設中の「新水戸市民会館」は伊東豊雄氏設計で今回と同じコラボレーションとなります。
2023年4月完成予定 伊東豊雄"新水戸市民会館"水戸芸術館に隣接するやぐら広場のある木質系新市民ホール
建築の特徴
ウィズ原宿は「道の建築」をコンセプトに計画・設計されました。西に明治神宮、北に竹下通り、南に表参道と原宿エリアの歴史は「道」によって成長、そして熟成されてきた点に着目。もともとの街の道と新たな建築内の道が繋がり、竹下通りと表参道の新たなインターチェンジとなります。原宿駅から見て竹下通りとは7mの高低差があり、原宿駅方面は1階、竹下通り方面は地下一階のレベルで繋がります。
地下3階建て、地上10階建てのうち低層階は「ストリート」を中心として、注目のストアやレストランが並んでいます。上層階には共同住宅があり、高層階の唯一のレストラン8F「ザ・ハラジュク」からは明治神宮の杜が最前線で眺められるスポットとなっています。
低層部はガラスを多用することで、「道の入口」の境界を可能な限り希薄にして、道の繋がりを意識したデザインとし、上階はグリッドフレームとしてダブルに組んだ木製の格子を押し出し、神宮の杜と呼応した表層を見せています。この構成は松本市の「信毎メディアガーデン」で見せたようなグリッドに通じるものがあります。