概要
つくば市中心部にある立体式駐車場で、1994年に完成(完成当時は「南第1駐車場」)しています。つくばは駅開発前より駐車場が豊富にあり立体駐車場だけで4棟存在しています。その内の一つがこの南3駐車場で1階には店舗スペースもあり、「みずほ銀行」、「オリックスレンタカー」、「ミサワホーム」、「大塚商会」、「病院」などが入居しています(2019年1月現在)。
設計
建築設計は建築界のノーベル賞と言われる「プリツカー賞」も受賞している伊東豊雄氏。立体駐車場という用途ながら伊東豊雄氏の設計という希少性がこの建物の価値を高めています。国内では「せんだいメディアテーク」(仙台市)や「シルバーハット」などが代表作で、近作では「まつもと市民芸術館」(松本市)、「信毎メディアガーデン」(松本市)、「ミキモト2」(東京都銀座)などの実作があるほか、国外でも多くの作品を設計しています。この南3駐車場は公表されている中では茨城県内唯一の伊東豊雄建築作品となりますが、2023年にオープン予定の「新水戸市民会館」が現在建設中となっており注目されいています。つくば中心部の立体駐車場のうち南1駐車場は坂倉建築研究所(坂倉準三氏が開所した設計事務所)の作品となります。
建築の特徴
距離のあるスロープを大胆に外側に張り出し建物に動きのある立面を作り出すと同時にスロープ下に店舗を設けることで大きな庇としての役割も持たせています。メインフレームは伊東豊雄の特徴である白でまとめられており、水平力確保のためのブレースは外付けとし、接合部と交差部を円形とすることでアクセントを持たせています。主に上層階には縦横の不規則な配列のルーバーが用いられています。機能的には建物の手すり、車のガードの役割として、視覚的には歩道へのアクセントであったり建物全体の威圧感を和らげる役割を持たせています。歩道側のスロープのフレームのみ黄色で変化をつけ全体のアクセントとしています。
立体駐車場は建築としてのフレームがそのまま表に表現され、研ぎ澄まされた無駄のない構造物の姿そのものが建築の姿となります。骨格だけの世界での勝負となるため、建築家にとってはより腕が試されることとなります。駐車場として動く車を支えるため、当然骨格は太く頑丈な形になり得ますが、デザイン上は細く軽やかに見せたいという反対の意図が働き、構造力学とデザインとの間で何度も綱引きをしながらまとめていく過程がそこにはあると思います。また、柱と梁、ブレース、接合部、スラブ(床)と隠される部分も少ないため、手を抜ける部分がないという点で「シンプルであるがゆえに難しい」境地が立体駐車場なのかもしれません。
アクセスと駐車料金
つくば市竹園1−4−1。駐車料金は220円/1時間です。都会からすると非常にリーズナブルですが、茨城県内では店舗併設の駐車場は基本的に無料のなか、中心部ですので有料となっています。みずほ銀行など1階の店舗利用者は時間に応じて無料化処理もできると思います。「つくばカピオ」はほぼ隣接しており、「つくばセンタービル」も近距離となります。