“西沢立衛設計”軽井沢千住博美術館

“西沢立衛設計”軽井沢千住博美術館

2019年4月28日

概要

長野県軽井沢町にある日本画家「千住博」の美術館。千住博は数多くの賞を受賞している日本画家で、京都造形芸術大学の元学長。「滝」をテーマとした作品が多く、本美術館内でも展示室を広く使った滝の展示があります。

設計

設計は西沢立衛建築設計事務所。施工は清水建設JV。千住本人の依頼により西沢氏へ依頼し実現に至っています。西沢氏は妹島和世と共同であるSANAAとしての活動が主ですが、この建築のように本人単独での仕事も若干ですが受けています。

同敷地内には付属施設としてカフェとギャラリーがありますが、こちらの設計は「安井秀夫アトリエ」。

建築の特徴

この建築は外部からはその全貌が見えにくいのですが、エントランス内に入ると、国道18号から緩やかに南側に傾斜する敷地に絨毯を敷くかのように広がっています。一般的には入口を地上階として階段やスロープを使いながら地階に降りていく展開を見せますが、この建築はほぼ”敷地なり”に作られています。

敷地はフォールルームに向かって傾斜して下っており、建物も傾斜なりに勾配していく

受付は入口すぐ脇ではなく、あえて入口から10数m離れた位置に配置されています。入口の自動ドアが開いた瞬間に受付ではなく、まずは空間の広がりを体験してもらう操作の一つなのかもしれません。

建物内に入れば広く傾斜した空間の中に、森の一部が切り取られた4つの円形の光庭から十分な量の光が取り込まれて、空間内を緩やかに仕切られた壁面に絵画が展示されていてあたかも森の斜面を歩きながら、その中に展示物に出会うかのような配置がされています。

美術館としてのハイライトは最も奥に位置にする「フォールルーム」。文字通り「滝」の実物大のインスタレーションが広がります。

駐車場側からのアプローチ。この時点では建物の全体像は確認しづらい。散策路にはウッドチップが敷かれている。
風除室より外部を眺める
軽井沢でも指折りのパン屋「浅野屋」は美術館の付属施設でもあり、パン屋に併設されたカフェで休憩ができる。
朝日屋のエントランス。
付属のギャラリー棟。地元の写真展などが無償で開催されている。

美術館の店は朝日屋と同じ建物内にあります。

アクセス

国道18号バイパス沿いに位置。南軽井沢エリアの中心部である「塩沢湖(タリアセン)」から近距離にあります。しなの鉄道「中軽井沢駅」よりタクシーで5分程度。中軽井沢駅、軽井沢駅から循環バスもあります。