概要
長野県小布施町にある町立図書館。小布施といえば「栗」や「葛飾北斎」ゆかりの地として年間通して多くの観光客を集める観光地。もともと町役場の「3階が図書館」という恵まれた環境ではなかったため、新図書館の整備を長年かけて町で議論し、町役場と小学校の間にあった幼稚園の地に建設することとなりました。
「テラソ」は「照らそう」から着想を得てネーミングされています。
設計と施工会社
設計は古谷誠章+NASCA。公募型設計プロポーザルにより選定されています。プロポーザルの最終審査には「隈研吾」、「伊東豊雄」、「新居千秋」などそうそうたるメンバーが残り話題となりました。
古谷誠章は長野県内では同じく図書館系施設である「茅野市民館」を設計し、数々の賞を受賞するなどの実績もあります。
施工は地元最大手の北野建設。
建築の特徴
敷地は役場と小学校の間の土地にあり、決して広いとは言えない場所にあります。
小布施であれば対観光客、発信性という視点で、もっと少し開かれた場所での建設も可能だったと思いますが、駅に近く役場や小学校に隣接するこの立地こそ、地域密着型の図書館像に寄り添った選択肢であると考えます。
平面はほぼ三角形で閲覧室を主体としたワンルーム。ここに山なりの屋根が載せられています。設計者は建物に帽子を被せるようなイメージとした、語っていますが長野の山並みにも呼応するスカイラインは決して背伸びもせず、地域に安心感を与えるデザインと言えます。
外壁は小布施のカラーコードである栗色や土壁と合わせており、小学校や町役場とも異色とならないよう配慮されています。
外観は地域景観を超えない中で親しみのあるカタチにする一方、内面は杉が格子状に組まれたドーム型の天井が、利用者を包み込んでいるかのような印象を与えています。