概要
つくば市竹園にあるスポーツアリーナ、ホールを有する多目的ホール。アリーナはバスケットボール、バレーボール等の大会にも対応し、ホールは音楽や舞台などにも対応し400人弱の人数を収容できます。
設計
設計は谷口吉生。日本を代表する建築家の一人。送り出した作品数は多くはないものの徹底した作品主義で知られており、同時並行では2件までしか仕事を受けないと日経の私の履歴書で語っています。
これまで「土門拳記念館」、「葛西臨海水族園」、「丸亀市猪熊弦一郎現代美術館」、「ニューヨーク近代美術館新館」、「法隆寺宝物館」、「長野県信濃美術館・東山魁夷館」、「鈴木大拙館」、「谷口吉郎・吉生記念金沢建築館」など、どれもが代表作と言えるほど完成度の高い作品が多い印象です。
つくば中心部は有名な現代建築が豊富と言われます。つくばセンタービル(磯崎新)、つくば南駐車場(伊藤豊雄)、つくば市立竹園西小学校(原広司)など著名な建築家の作品が並ぶ中で、特にその価値を高めているのがこの「つくばカピオ」であることは間違いありません。
谷口吉生は同じく建築家の谷口吉郎「モダニズムの巨匠」の子で、二世建築家にあたります。政治家や実業家は二世が多いですが建築家の二世が大成するケースは実は非常に珍しいと言われています。それだけ感性に左右される仕事であることを示していると思います。慶応大学で建築とは直接関係のない機械工学を学びながら、卒業間際に父と同じ建築の道へ進むことを一転決意し丹下健三などの下で腕を磨いています。
建築の特徴
深い庇の「門構え」は設計者の専売特許で「東京国立博物館法隆寺博物館」や「ニューヨーク近代美術館新館」、「丸亀市猪熊弦一郎現代美術館」に通づる意匠を持っています。この建物はイベントホールですが、大イベント時にはこの庇下を含めた外部スペースも活用されている点は他の作品の用途からすると異なる点ではないでしょうか。
「直線」や「面」といった幾何学の基本要素を組み合わせだけながらも、その構成の仕方が真似できそうで真似出来ないのが谷口吉生の建築です。トップライトやスリットなど光を取り込む操作も見られますが過剰でも不足でもない絶妙なバランスが保たれていると感じられます。
近年付近にマンションが立ち並んできていますが、全面にある大清水公園が確保されている限り決して埋もれることはないでしょう。
アクセス、開館時間
つくばエクスプレスつくば駅より徒歩約10分。ロビーまでは出入りは可能です。アリーナやホールはイベント時のみ立ち入り可能。無料イベントも豊富なので「つくばカピオ」の公式HPで確認できます。
伊東豊雄設計の「つくば南3駐車場」はすぐ隣になります。