概要
つくばセンタービルは茨城県つくば市中心部にある「オークラフロンティアホテルつくば」、「ノバホール」、「つくばイノベーションプラザ」、「アイアイモール」からなる複合施設。1987年に完成。つくばのランドマーク的建築。
つくばセンタービルは同じ設計者の作品である「水戸芸術館」と並び、茨城の建築を語る上で避けては通れない存在です。建築の潮流の一つである「ポストモダン」の国内の象徴的作品とされています。
広場は「つくばセンター広場」として「まつりつくば」や「つくばコーヒーフェスティバル」、「ランタンアート」、「つくばクラフトビアフェスト」、「食と酒 東北まつり」などの屋外イベント会場として年間通して利用されています。
一方、アイアイモールはかつてつくば中心部の貴重な飲食店街でしたが、付近にBivi(ビビ)やQt(キュート)などの飲食施設が開業したことに伴い客数が減少し続け、アイアイモールの象徴だった「シェーキーズ」が撤退すると、他の飲食店も全て撤退。現在はテナントに企業の事務所などが入居しています。
設計
設計は磯崎新(いそざきあらた)。つくばには有名建築が多数ありますが、その中でも中心部にあって金字塔的な建物。もちろん評価は別れますが、その存在感は他の建築を圧倒していることは確かでしょう。
2019年3月、本作を含む作品が評価され日本人8人目のプリツカー賞を受賞しました。茨城県内の他の磯崎作品は「水戸芸術館」。また、プリツカー賞受賞者としてはつくば市内では「つくば南3駐車場」の伊藤豊雄、茨城県内では「JR日立駅」、「日立市庁舎」の妹島和世となります。
磯崎新は建築界では「巨匠」と呼ばれる数少ない存在です。日本で最も世界的に活躍した「丹下健三」のもとで働き独立、現東京都庁舎の設計コンペにて師弟対決となった出来事(丹下健三が最優秀作)は当時社会的にも話題となりました。
建築家としての実績もさることながら建築理論家としても名を馳せていました。私も学生時代にこの人の本を読むことがありましたが、難解すぎてほとんど理解することができませんでした。建築物を作るのが建築家の仕事だと考えてましたが、その建築が生み出されるにはそれに対等、あるいはそれを超える建築理論によって裏付けられる、と言うことを思い知らさせる作品です。
建築の特徴
「建築のポストモダン」とは簡単に言うと、過去の様式をアレンジして散りばめた建築様式です。
磯崎新は著書の中で常々「廃墟的な建築」を意識していました。この建物の設計でも廃墟化したドローイングを発表しています。ギリシアのパルテノン神殿もそうであるように、建造物はいつかは廃墟になるという自身の建築理論を最も具現化できた建築となるのでしょうか。
皮肉にも廃墟を究極の理想の姿として捉えたつくばセンタービルは残存しながらも近隣の建物はある意味「廃墟化」しつつあります。ほぼ同時期からつくばの中心施設として営業してきた「西武筑波店」、「クレオ」は閉店に追い込まれました。ライトオン本社ビルは売却され本社機能を東京へ移しました。
オークラフロンティアホテルつくば
オークラフロンティアホテルはつくばセンタービルの中心的建物です。本館と遊歩道を挟みアネックス舘によって構成されています。市内では唯一のシティホテルでシングル、ツイン、ダブル、ジュニアスイート、スイートと幅広いグレードを用意しています。アネックス舘には屋内プールが完備されています。
つくばは国際的な研究機関や企業の研究所等も多くVIP等の利用も少なくないのでしょう。2018年に開催されたG7科学技術大臣サミットでも利用されるなど、これまで多くの国際会議が開かれています。
東京オリンピックでは都心部の宿泊施設が不足すると言われています。東京からのアクセスの良さからオリンピック観戦者などの宿泊拠点ともなることでしょう。
アクセス
茨城県つくば市竹園1−10−1。駅から地上に上がるとどこの出口からでも視線に入ります。駐車場は複数ありますが、20分以内ならつくば駅前駐車場が無料で利用できますし、つくば北1、南1、南2などの近隣駐車場はQtなどで買い物をすれば3時間無料となります。
つくばセンター広場でイベントがある時はまた違った面を見ることができます。
近くには「つくば南3駐車場(伊東豊雄)」、「つくばカピオ(谷口吉生)」などの有名建築が立ち並んでいますので併せて見学することをお勧めします。