ライトオンつくば(AutoLIV)

ライトオンつくば(AutoLIV)

2019年3月3日

概要

つくば市吾妻にある7階建の店舗兼ビル。ファッション小売「ライトオン」が本社兼店舗として2006年に建築。2018年にライトオンは本社機能を東京原宿へ移転することとしたため、2、3階の店舗を残したまま(その後ライトオンは店舗も閉鎖)ビルを売却。4階〜7階が空室なっていましたが、スウェーデンに本社を置く自動車部品メーカー「AutoLIV」が「ジャパンテクニカルセンター」として日本国内の研究拠点として入居。これには海外メーカーを誘致したい茨城県が「本社機能移転強化補助金」を認定し実現しました。

オートリブは自動車のエアバックやシートベルトなどの安全、保安部品等を中心とする製造メーカー。つくばという土地柄、研究開発分野での連携や人材確保の面から展開が期待できると判断されたのでしょうか。市内には近距離に「日本自動車研究所」もあります。

つくば中心部は「クレオ、筑波西武」の閉店や相次ぐ公務員宿舎の廃止などから街の賑わいの低下が懸念されています。街の活性化という観点ではオフィスで働く人を中心とした「昼間人口」を増加させる必要があります。近くには三井ビルや常陽ビルなどの大型ビルもありますので、このような貸ビルの入居率を含め、市内中心部に入る企業などに通勤する人の人口を増やす取り組みは重要です。

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設計と施工会社

設計は大手組織設計事務所「久米設計」。施工は「竹中工務店」。研究学園駅の「つくば理想開発センター」は同社の設計。竹中工務店は「Qt(キュート)」や「イオンモールつくば」、「エスペリアつくば竹園」など市内の実績は多数あります。

建築の特徴

建物は駅から3分ほどの場所に立地。ペデストリアンデッキのレベル(2階)を主入口として2、3階を店舗(ライトオン)とし、上層階がオフィスビルとなっています。その境界は低層部がレンガ貼り、高層部がテラコッタルーバーとなっていることからも分かるようになっています。レンガを透かし貼りとすることで、また貼り方に変化を付けることで外観へのリズムと透過性を作り出しています。

レンガの外装はライトオン店舗に多用されているいわゆる「企業のデザインコード」。建設時にはその中心施設であったことから必然的にレンガのファサードが企業から求められた、という経緯を持っているようです。レンガの建物はつくば中心部では珍しいですが、少し離れたところでは洞峰公園のプールや体育館、筑波大学のデザインコードなどで使用されています。

その姿は「つくばセンタービル」や「つくば南3駐車場」、「つくばカピオ」など著名建築家の作品が付近に立ち並ぶ中、特に「つくばセンタービル」という強烈な印象に対して「対峙」しないあり方を模索した結果のようにも見えます。

機械的な表情が多いつくばの新建築においては、レンガという材料がつくばの持つ学術的な印象にも沿っている、とも言えます。オフィスビルは中の様子が伺えないことが多いですが、夜になると内部の照明がレンガやルーバーを介して明かりを灯し、夜のデザインに一役買っています。

上階のオフィスビル入り口
南側のファサード

アクセス、営業時間

つくばエクスプレスつくば駅よりペデストリアンデッキを上り、南方向に徒歩1分。AutoLivは企業ですので立ち入りはできません。