“伊東豊雄” 信毎メディアガーデン 櫓(やぐら)をイメージした新聞社がある商業施設

“伊東豊雄” 信毎メディアガーデン 櫓(やぐら)をイメージした新聞社がある商業施設

2021年5月8日

概要

信毎メディアガーデン」は長野県松本市にある信濃毎日新聞社の本社機能と商業施設の複合建物。本社ビルを主の目的としながらも1階から3階までをコミュニティゾーンやショップゾーンとして一般市民が利用できる複合施設として地域の賑わいの創出に寄与することを目的に2018年にオープンしました。

設計

建物の設計は「伊東豊雄建築建築設計事務所」。伊藤氏は2013年に建築界のノーベル賞と言われる「プリツカー賞」を受賞。代表作として「仙台メディアテーク(仙台市)」、「多摩美術大学図書館」、「長岡リリックホール」などがあり、国内外問わず数多くの作品を創出、現在でも第一線の活躍を続けています。幼少期に下諏訪町で過ごした時期があり長野県にゆかりのある建築家として知られ、「下諏訪町立諏訪湖博物館・赤彦記念館」(下諏訪町)、「大田区休養村とうぶ」(東御市)など県内での実績も複数見られます。とりわけ「まつもと市民芸術館」(松本市)は2004年の開館以降、松本の市民文化拠点として機能してきました。

"伊東豊雄"まつもと市民芸術館 文化の街松本にある狭小間口から伸びる音楽と芸術の複合ホール

概要 まつもと市民会館は長野県松本市にある芸術・音楽ホールで同一敷地に3代目とし…
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2023年4月完成予定 伊東豊雄"新水戸市民会館"水戸芸術館に隣接するやぐら広場のある木質系新市民ホール

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"伊東豊雄"「大田区休養村とうぶ」300mのカーブとスロープが描く自然傾斜に沿った公共の宿

概要 「大田区休養村とうぶ」は長野県東御市にある宿泊施設で東京都大田区が運営する…
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建築の特徴

地上5階建の建物は上階部分はガラスの木枠とし、低層部はガラスとGRCのルーバーがスカート状に立て掛けられた2層構成の外観を作り出しています。設計者は「松本という場所は、松本城を中心とする城下町としての歴史を持ち、現在でも高い文化度を保っている」と評価した上で「櫓(やぐら)のようなイメージ」の建築として作り出したかったとしています。櫓とは城郭の物見塔の役割として城に付属、または城郭の一角に建てられます。松本城にも天守を囲うように「渡櫓(わたりやぐら)、辰巳附櫓(たつみつけやぐら)、月見櫓(つきみやぐら)」が設けられています。低層部に立てかけられるように設置されたGRCのルーバーがその外観上の特徴を担っています。

GRCとは、耐アルカリガラス繊維で補強したセメント板(Glass fiber Reinforced Cement)でセメント板の延長にある製品です。このGRCは自身が設計した「まつもと市民芸術館」の外装と内装でも使用されています。軽量でありながら頑丈で耐朽性にも優れたこの材料は、加工性も高くルーバーのような装飾材料にも使用することが可能となっています。

低層部が広がるフォームによって「城」のような安定感が感じられ、2段構成の外観はより複合的で複雑化したイメージを作り出している。
松本城の黒に対して、白いルーバーが対比的な印象が感じられる。

コンテンツ

1階にはまちなか情報局、丸山珈琲、MARKT(食品、雑貨)、ホール(イベント利用等、200m2)2階にはMARKT+(食品、雑貨)、THE NORTH FACE(総合アウトドア、ファッション)、ポムジェ(土産、ギフト)、A &Fカントリー(アウトドア)、3階には松本ブルワリー(クラフトビール)、和ダイニングくらすわ(和レストラン)、レストロリン(レストラン)、スクール等に対応したスタジオやキッチンが配置されています。ブルワリーと和レストランは3階のテラスに面しており、外部テラスも利用できるようになっています。4階、5階は信濃毎日新聞松本本社のオフィス専用ゾーンとなります。

アクセス

住所:〒390-8585 長野県松本市中央2-20-2

電車:JR松本駅から東方向に徒歩約8分。

車:中央自動車道松本ICより約15分。専用駐車場はありませんが、周辺の有料駐車場が利用可能です(一部店舗で割引サービスあり)