つくばマンション”レーベンCORISコアリス”広告の読み方構造編

レーベンつくばコアリス 敷地編に引き続き広告から「構造」面の分析をしていきます。

建物の構造に関して公表されている情報は「鉄筋コンクリート造19階建て」ということだけです。これに補足情報として、配置が南西のL字形プランであろうこと。延べ面積が約41,000平米ということでしょうか。

本来は図面と構造計算書からしっかりと分析しなくてはならないのですが、意外と広告から分かることも少なくないのです。

広告から分かること①

L字の建物プランは構造的に分割します。L型の建物をL型のまま設計することが困難なためです。これは地震時に一体で動かすとなると挙動が難しく、分割することによって揺れ方がシンプルになるのです。

L字形のほとんどのマンションはこれに当てはまります。敷地南側のエンブレムもL字建物ですのでそうなっているでしょう。L字の底辺と縦を分割した「I形の建物2棟」、ということになります。構造計算書を見ると例えば「南棟」、「西棟」などのように複数の建物ごとに構造計算されています。分割した間はエキスパンションジョイントという構造的に縁が切れた接続方法で通路はつなぎます。

広告から分かること②

次に注目するのは「鉄筋コンクリート造19階建て」です。逆の読み方をすると「鉄骨鉄筋コンクリート(SRC)ではない」、「鉄骨造(S)ではない」、「免震構造ではない」ということが分かります。中層(4階~)以上は鉄筋コンクリートは一般的ですが、19階という高さからすると「構造的には上限に近い」です。

一昔前ですと19階となると選択肢としては鉄骨を中に入れたSRC造か建物の軽量化が可能なS造のいずれかにせざる得なかったと思いますが、コンクリートや鉄筋材料の高強度化により高層階化が可能となっています。

コンクリートは強度が高くなってくるとコンクリート中の水分の量を減らさなければなりません。水分量が減るとコンクリートの粘性が落ち「硬く」なってきます。硬いとコンクリートが細部に回りにくくなるため現場では気を使う必要があります。つまり施工難度が高くなってくるということです。このためコンクリートを流動化する薬剤を混ぜたりするのですが、当然単価が上がってきます。

よくマンション広告では「高強度コンクリートを採用」と建物のウリとして言葉が使われていることがあります。建物階が高くなってくると当然建物が重くなってくるため、それに比例してコンクリート強度は高くなってくるのです。強度は無理に高くしているわけではなく、結果的に高くなっているに過ぎませんので惑わされないようにしましょう。

広告から分かること③

19階建てという「高さ」です。階高を3mと考えると全体の高さは約60m近くになります。この「60m」がポイントなのですが、建築物は60mを超えると法的に「超高層建築物」と位置付けられます。

一般に「超高層」というと東京の高いビルを想像しますが、法的には60mを境にしているということです。この60mを超えると一般的な計算手法の適用外となるため「時刻歴応答解析」というより詳細な構造計算を必要とされます。「時刻的応答解析」とは実際に過去の地震波を建物のモデルに与えて構造物が安全かどうかを確認する手法です。

60mを超えているかどうかは広告からは分かりませんが、私見では「超えていない」と考えます。おそらくですが、「59.9m」のように「超えないように設定」しているだろう、という推測です。なぜなら時刻歴応答解析は時間と費用が相当かかるからです。面積の話になりますが、指定容積率が400%であれば399%で設計されていることも少なくありません。マンションは収益性が最優先されますので、余計に費用のかかる仕様は避けるものです。

私が購入する立場であれば「構造計算の概要」、「時刻歴応答解析」は行っているかを聞きます。専門的な話ですので、まず営業の方は「え?」となりますが、確認はしてもらいましょう。10階建て程度であれば時刻歴応答解析は過剰と言えるかもしれませんが、適用上限に近い高さながら通常のルート計算に留めているとすると、高層建物としてどのような配慮を行っているかは確認したいところです。

広告から分かること④

鉄筋コンクリート造は「耐震構造」となります。一般に上階の方が地震時の揺れは大きくなります。例えば建物高さが60mであれば概略的に高さの1/100が横に動いても何らおかしいことではありません。つまり最上階では地上からみて60cmは移動する前提で考えておいた方がいいでしょう。意外と大きいと思われますか?これは建築基準法で認められた計算方法ですので、法的には全く問題ないのです。ただし「大地震時に倒壊はしない」けど「補修は必要になる」かもしれないということを覚悟しなくてはなりませんし、家具の耐震対策等が必要になってくるでしょう。この点、免震や制振は大地震時のダメージは比較して小さくなります。

RC(ラーメン構造)マンションはバルコニー側に大きい窓があるため長手方向に揺れやすい特性があります。短辺方向は戸境に耐震壁が入るので長手より揺れにくいです。

震度5程度の地震ではエレベーターはまず止まります。また、インフラとしてはガス、水、電気が止まる可能性があります。エレベーターが止まると19階まで階段で昇降し、水が止まれば自力で担ぎ上げなければなりません。

以上、広告だけの情報からもいろいろなことが分かるものです。私が購入するのであれば「低層部」に尽きます。マンションは上層階ほど価格も高く、ステータス性があるようですが、構造面と非常時を考えれば低層階が最適でコストメリットも良く言うことなしです。耐震構造で高層建物であれば上層階は私なら買いません。

補足ですが、上層階より低層階の方が戸境壁が厚いです。19階が18cmだとすると1階では30cm近い厚さになっているでしょう。お隣さんとの間の壁が厚いので防音性能はUPしている、という見方もできます。ちょっと得した気分になりますね。